2014年7月29日火曜日

楽器は入院中

このところ決まった楽器屋さんがいなくて、あちらこちらとさまよっていた私の楽器は、とても気難しくて手に負えない。
湿度が高すぎると文句を言うし、乾きすぎるとビリつく。
昨日まですごく良い音がしていたのに、今日はふてくされて鼻も引っ掛けてもらえないなんてことも。
ご機嫌を取るのが大変で、時には音が変化してくるまで、ずっとロングトーンを鳴らし続けることも。
どこの楽器工房へ行っても、調整に満足できなかった。
そんな話をしていたら、弥生人の美智子さんがご自分の長年お付き合いしている楽器屋さんを、紹介してくれた。
ご丁寧に今日そこへ一緒に行って、引き合わせてくれた。

この楽器屋さんは、友人達もよく訪れている。
私の仕事場からも近いし、大変便利な場所にあるのだけれど、私はその近くの別の楽器屋さんに行っていた。
今まで2回ほど弦を買いに行ったことはあっても、なぜかその後はご縁がなかった。
他で何回も調整をしてもらっても、あまり良い結果が出なかったので、今回は非常に期待している。
本来もっと良い音がするはずなのだ。

あるとき私のミスで駒を倒してしまった。
幸い楽器自体に傷は付かず、胸をなで下ろしたけれど、駒が割れた。
次の日から仕事の旅行があって、さてどうしよう。
近所に出来たヴァイオリン工房に行って、とりあえず駒だけ立ててもらって旅行に出かけた。
帰って来てから本格的に調整をしてもらったけれど、これがもの凄く腕の悪い人だった。
なんだか毎日楽器の調子がトーンダウンしてくる。
どんどん病状が悪化する。
最後には歯を食いしばっても、音が出なくなってしまった。

これはおかしいというので、次は紹介してくれる人のあった、他の工房へ。
この人はとても腕が良くて、安心して任せられたけれど、それでも音色が以前と比べるとワンランク落ちる。
決して悪いと言うほどではないけれど、どうしても以前の音が出ない。
そこで又べつの楽器屋さんに。
大手の楽器商専属の職人さんで、私はその人の作った楽器が気に入っていたことから期待して行ったけれど、私の楽器を診てどこも悪くは無いと言う。
よく、いくら検査をしても悪いところが無いと言われて病院をたらい回しにされる人がいるけれど、そんな感じで中々名医には会えなかった。

今日初めて対面したSさんは、私の楽器を見るなり「とても良い楽器ですね。これは良くなりますよ」と言ってくれた。
絶対今の状態はおかしいのは、私もわかっている。
職人さんもピンキリで、良い楽器を扱ったことのない、特にオールドのヴァイオリンを扱う経験の少ない職人さんには、怖くて任せられない。
Sさんは国内外の有名な弦楽器奏者が数多く訪れる、腕に定評のある人なので、勿論あらゆる名器を扱っている。
松原湖のコンサートに間に合うようにとお願いしたら、こんなに依頼が殺到していてと沢山の伝票を見せられた。
指板を削り、弦の微調整をする金具を取り替え、駒と魂柱の位置の調整、とりあえずそこまでは3日くらいで出来ると言うので、お願いしてきた。

楽器全体のメンテナンスは夏が終ってからと言うことで、なにか希望の光が見えてきたので、美智子さんと泡の立つ液体で乾杯。
暑さで体が弱っていたところにお酒を飲んで、たらふく食べたので気分が悪くなってしまった。
体調悪くても食べ物を目にすると我慢できない、この性格はどこの工房に行ったら直してもらえるのか、お訊きしたい。

























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