2014年9月22日月曜日

秋はブラームス

友人Sさんの主宰するピアノコンサート。
代々木上原のムジカーザにて。
音大を卒業してプロとして活躍中の、若きピアニスト達+おばん2人。
GROUP Largoと名付けられて、毎年コンサートがある。
そこに、毎年賛助出演としてお招きに預かって、Sさんと演奏させてもらっている。
今年はブラームス「ピアノとヴァイオリンのソナタ第3番」を弾いた。
この名曲は長いこと私の中では敬遠されていたもので、スケールの大きさ、息の長さ、音量の多様さによって、非常に難しい。
たしかに以前どこかで演奏してはいるが、満足した記憶がない。
特に2楽章の、ほとんどG線で弾くところが、息切れする。
高いポジションを、ヴァイオリンの一番低い弦であるG線で弾くので音色は素敵なのだが、1本の線の中を行ったり来たりするのは音程的に難しいのと、豊かな響きを要求されるので、弓の圧力、スピード、ヴィブラートなど、様々なことをクリアしなければいけない。
それを本番でいかに上手くコントロールできるか。
最近体調を崩してからは、体力、気力ともに衰えて、豊かな音が出ない。
楽器の調子は悪くない。
弓も良い。
悪いのはその持ち主だけ。
リハーサルはまあまあ上手くいった。
体力も少しずつ回復に向かっている。
食べ歩いたりした甲斐があったらしい。

リハーサルから本番の間の時間が長かった。
その間、元生徒が復帰したいと連絡があり、空き時間に会うことにした。
その女性はたいそうエリートの仕事で、世界の超一流大学大学院を卒業して日本に戻ってきた。
アメリカに行く迄教室に来て、私のレッスンを受けていた。
そしてアメリカに行ってからは音沙汰がなく、帰国してもそれこそ国家の中枢に携わるような仕事だから、ヴァイオリンを弾くどころではないと思っていた。
ところが、又復帰したいというので事情を聞くと、笑ってしまった。
留学中にアメリカでヴァイオリンの先生を探して、レッスンに通ったらしい。
ところがその先生がクソ真面目で、ものすごいスパルタだったという。
私とのレッスンは終始笑っていたのに、信じられない程厳しいので大変参ったそうだ。
音階ばかり弾かされて、本当に辛かったと言う。

私はアマチュアでも、もの凄くやる気のある子には、ビシバシレッスンをつける。
特にプロを目指すなら音階は必須。
でも、気晴らしで楽しく教室に来て、ほんの少しヴァイオリンを弾いて楽しもうという人には、私も楽しみながらおしゃべりをしたり2重奏をしたり、殆ど遊びかカウンセリングかみたいなレッスンをする。
そうでないと、厳しい仕事で疲れている人達は、息抜きも出来ない。
その女性が言うことには「先生(私)のレッスンはメッチャ楽しかった」らしい。
私も彼女とはウマが合って、面白かった。
なんと言ってもずば抜けて頭が良いので、説明がすんなり理解してもらえる。
仕事が激務だから、練習はレッスンの時だけなのに、なんなく言われたことをクリアする。

それで最近、あの人はどうしているかしら?と考えていた矢先の連絡だったので、こちらも嬉しかった。
暫くおしゃべりをして時間が過ぎ、さて、私はこれからブラームスという段になって、結構疲れ果てていることに気がついた。
プログラムの一番お終いだから、楽屋は出演者がどんどんいなくなっていく。
イスに腰掛けたまま眠ってしまった。
おそろしいことにアラームも設定していなかったので、気がつかなければ本番まで寝てしまうところだった。
寝起きのまま、ボンヤリ着替えてボーッと出て行くと、なんだかドキドキする。
最近では珍しい緊張感。
やはり眠ってはいけなかった。

そうは言っても演奏時間は迫ってくる。
本番はなんとかいったけれど、弓を持つ手が震えそうでコントロールが難しかった。
ただ、音色は震える寸前が、なぜか一番良い音がする。
良い音がしていたら幸いなのだけれど、どうだったか。






















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