2014年12月17日水曜日

オートマかマニュアルか

数年前、長崎に仕事に行った。

仕事が終って、次の日は少し時間に余裕があったから最終の飛行機で帰ることにして、レンタカーでドライブをした。
ここ何年も阿蘇に行っていないから、私の大好きな阿蘇山をグルッと回って、熊本空港から飛行機に乗る予定をたてた。
朝一でレンタカーを借りるために営業所に行った。
すると、車がない。
たった1台、三菱のマニュアル車ならありますとのこと。

私が免許をとったころは、教習所の車も街を走っている車もマニュアル車だった。
もうずいぶん長いこと、マニュアル車は運転していない。
どうしようかと思ったけれど、他のレンタカー営業所を探すのも面倒だし、かつてはそれで免許もとったことだし、多分運転できるだろうと借りることにした。
なぜそんなに車がないのかと訊いたら、おくんち祭りの最中だった。
日頃から世の中のことは疎くて、周りのことに無関心。
だから長崎の空港に着いてからも、街の中を見ていない。
どこかにお祭りの気配を感じても良さそうなのに、空港ーバスー仕事の会場ーホテルー飲み屋ーホテルという具合に限られた行程をこなすだけだから、ちっとも気が付かなかった。

マニュアル車でトロトロ動き出す。
時々ギアを入れ忘れ空ぶかしするくらいで、思ったよりもしっかり操作を覚えていた。
若い頃さんざん運転したし、その頃覚えた事は最近になって覚える事よりもずっと身についている。

数キロ行くともう鼻歌まじり。
これはラッキーだったかも。
阿蘇山の周辺を回って草千里まで行くつもりだから、オートマよりギアが付いた車の方がよほど面白い。

のんびり周りの景色を楽しみながら阿蘇へ。
山の中腹に茶店があって、そこで小休止。
中へはいると壁に「だごじる」と貼ってある。
「だごじる」とはなんぞや?
まだ午前の早い時間だったので、観光客はいない。
茶店のオヤジさんとおばさんたちが数人、お茶を飲んでいる。
だごじるってなあに?と訪ねると「団子汁」のことらしい。
「食べるか?」とおじさんに訊かれたから、勿論いただく。
まあなんといいましょうか、野菜汁に小麦粉の団子が入ったような物だった。
おばさん達が漬け物をどさっと出してくれて、だごじるは「勘定はいいよ」てなことになった。
日本全国、親切な人がいるものだなあ。

地元民の親切に感謝して、一路草千里へ。
久々に馬に乗りたくて、さっそく曳き馬のコーナーへ向かった。
この馬が横幅の広い頑丈な農耕馬。
サラブレッドのスマートな馬とはワケが違う。
おとなしいけれど、ちょっと鈍そう。
それでも一面の草原をゆらりゆらりと揺れていくのは、中々乙なものだった。
風向きによって噴煙がなびくので、その日は一部立ち入り禁止の箇所もあったけれど、穏やかな日で気分は上々だった。
ノンビリしていたけれど、熊本空港が意外と遠いのを発見して青くなった。
4時までに空港の営業所に、車を返さなければいけない。
ナビを見ると、グルッと回る大きな道を行くより、山路の方が近い。
それからは細くて急な山道をひた走って、ジャスト4時に営業所に滑り込んだ。
その頃にはマニュアル車はすっかり手なずけられて、ギアチェンジが楽しくなってきた。
やはり山路は断然この方が面白い。

目的は、阿蘇の話ではなくて、ギアのはなし。
最近日産でギア付きの小型車が販売されている。
ギア付きというと、国産車では軽トラックのようなものしかなかった。小型乗用車では珍しい。
先日その姿をみたら、白地に赤の縁取り。
色も可愛いし、燃費その他で今乗っている車より、断然費用がかからない。
同じ車種でオートマもあるけれど、もしその車に乗り換えるならギア付きにしようかと思っている。
なにも年取ってから物事を複雑にしなくても良さそうなのに、いつまでも心が子供だから、より面白い物に惹かれる。
山路でギアを選びながら走る、それが上手くいったときのうれしさが忘れられないで居る。


























2 件のコメント:

  1. nekotama様
    私もマニュアルで免許とって最初の何年かマニュアルのベンチシートのクルマを運転していたので、お気持ちよくわかります。確かにマニュアルの方が神経と身体をつかって、年をとりにくくなるのではないかと思いますね。nekotama様、若い!

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  2. 知人は絶対マニュアルでないといやという人で、そのかわり限られた車種しかないとなげいていました。
    でも腰痛があった時にはオートマがありがたかったので、これからのためにどちらを選か迷いますね。

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