2011年5月14日土曜日

ヴァイオリンって

こんなに素敵な楽器なんだと思い知らされたコンサート。フランスの巨匠、ジェラール・プーレさん。
銀座の十字屋ホールで昼間の演奏会。モーツァルトのソナタ2曲とフランクのソナタ。端正な容姿、格調高い音楽。すっかり魅せられてしまった。ヨーロッパでもフランスの奏法は非常に音が軽やかで、流れる雲や香水の香りのような音楽。初めのうちは誰でもそうだけれど、楽器が鳴りきらない。小さいホールだし響きをつかむのに苦労しているのだろうか。それとも、いくら巨匠でもお年には勝てないのか。だが2曲目、豊かに響き始め、圧巻はやはりフランク。その音の色彩の豊かさと言ったら!力みも衒いもない、心底音楽を楽しんでいる。ピアノのソロの時でも、体中で一緒に歌っているのがよくわかる。喜びの洪水に呑み込まれてしまった。終演後カクテルパーティーがあって、ステージを降りたプーレさんは、お弟子さんらしい若者にやさしく話しかけている。ステージの印象よりは小柄で、いかにも人柄が良さそうな感じに又魅了された。一緒に聴いた友人のピアニストと銀座でお茶を飲んで、二人で大感激の興奮を鎮めてから帰宅した。いままで聴いたことの無かった人の演奏で、いつも世界は広いと思う。日本では最近のコンクールの優勝者などのチケットは良く売れる。でも歳を重ね、たゆまず邁進して来た人の演奏は、心に染みいってくる。こちらも聞く耳が出来てくるし、若手のジェットエンジンみたいな音楽より、熟成されたワインのような深みと渋味のある音楽の方がずっと好ましい。中にはボジョレー・ヌーボーを世界一早く飲むことに喜びを見出す人もいるから、人それぞれで構わないけれど・・・

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