2011年7月18日月曜日

池本純子さんとモーツァルト

池本さんは今年82歳、東京音楽学校(現芸大)を卒業して長い間活躍されていらっしゃる。今でもわが古典音楽協会とは、毎年のようにモーツァルトの協奏曲を協演、私たちもこの上ない喜びを持って一緒に弾かせていただいている。まず、音の美しさ。珠玉のようなという言葉が当てはまる。淀みなく流れるリズム、フレーズの輪郭がはっきりしていながら、染み入るような静謐さ。音楽にのめりこんで行く集中力。一流の芸術家だけが持ち合わせる才能が、そこにある。去年は東京文化会館の書類審査にもれてしまった。その理由は聞くところによると、まず年齢が高すぎる。いつも曲目が似ている。等々。こんな理由で落とされるなんて、なんと馬鹿げたことかと思っていたら、今年はやはり復活できた。年齢が高いことと、演奏の内容となんの関係があるのか。曲目が限られるのは、私たちの古典音楽協会は演奏が文字通り「古典」に限られているからであって、その範囲でとなると、やはり、モーツァルトが最高峰であるから、毎年そのうちのどれかとなる。こんなにモーツァルトの演奏にふさわしい人はなかなかいないと思う。毎年弾きながら感動で泣いてしまう。今年は17番、23番の協奏曲を演奏。開場すると客席は満員で、マネージャーが大喜びしている。東京文化会館の小ホールを満員にするのはなかなか難しい。これも長年のキャリアに対する信頼のあかしであると思う。私が82歳になった時に、はたしてヴァイオリン持つことができるかどうか。協奏曲を2曲暗譜で弾いてのける体力と精神力は、並みのことではない。また協演できることを心から祈っています。

2 件のコメント:

  1. 本当に素晴らしい演奏でした!

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  2. 信じられませんよね。あの音! nekotama

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