2013年1月21日月曜日

譜読みの早さを豪語していたのに

長い間仕事をしていたので楽譜を読むのは非常に早いほうだと思っていた。フリーで芸能路線を行っていたために、オーケストラから離れていた時期が長かった。友人から誘われて20年ぶりにオーケストラに仕事に行った時の曲が「英雄の生涯」。リヒャルト・シュトラウスのあの難しい曲を初見でかなりスラッと弾けたので、よしよし、まだ衰えていないと内心ほっとしていた。それから又年経て今、弾けない。何回練習しても弾けない。主な原因は前の日に出来たことを忘れてしまうから。一日取り組んで、これでよし、次の日に弾くともう忘れている。それでも徐々に覚えるのに、しばらくすると忘れている。それと、動体視力の衰え。楽譜は前に前に読み進んで行かないと、その場所に来て、あれっということがよくある。だから、自分が今弾いている小節の数小節先を頭に入れて弾かないと、左手指の運びとか、弓の上げ下げがうまくいかないことになる。ほんの数年前まで非常に忙しく仕事をしていた頃は、仕事場に行くとドサッと30曲くらい楽譜を渡されて、一回目は譜読とボウイング付け、次はもうカメラリハーサル、そして本番、だから、即譜読みが出来なければ仕事にならない。最近のポピュラー曲や歌謡曲などは伴奏も非常に難しい。その上歌手のコンデイションによって半音下げろ、一音上げろと指令が飛ぶ。それをすぐに出来なければ使い物にはならないから必死で応える。皆何食わぬ顔でこなしていく。一人ずつ楽器にピンマイクをつけているから、ミスれば周りに聞こえてしまう。非常にスリリングで楽しかった。やっと、のんびりと出来ると思ったらマーラーの「5番」を弾くことになるとは。この曲、若い頃には難しいと思わなかった。とにかくその頃の集中力はすごかったから。今は突然フニャッと折れてしまう。今年のお正月からずっと練習している。今までで一番練習しているのに、いまだ完璧ではない。オーケストラは沢山の音がするので、自分が完璧に弾いていないと迷いが出てしまうことがある。だから隅々まで完璧にしたいのに、譜読みはほぼ出来ているものの、いざオーケストラの中に入ると弾けないことも。ああ、しんど。

0 件のコメント:

コメントを投稿