2013年7月11日木曜日

食い物になる

おれおれ詐欺などで高齢者を食い物にしようと狙っている輩が跋扈している。私もターゲットだと思っているが元々お金の持ち合わせがないので、難を逃れているようだ。最近うちの貸部屋から店子が出てしまったので不動産屋に頼んでいるのになかなか借り手がつかない。不動産屋は、部屋のタイプが古くて畳の部屋があると、今どき、まず借り手はつかないだろうという。それで畳をフローリングに改造しないかと持ちかけられた。ついこの間店子が出た時点で壁紙や床を張り替えてすっかりきれいにしたばかりでお金がかかっているのに、また余計な出費がかさむ。私も畳の趣味はなくて、新築時に自宅はすべてフローリングにしてもらったので、不動産屋のいうことはよくわかる。それにせっかく借りてもらうのに気持ちよく住んでほしいから、改装には反対ではない。今、見積もりを出してもらっているところ。これで借り手が現れなければ、建築屋の食い物で終わることになる。すぐに人のいいなりになりやすい性格だから、相手もやりやすいだろうと思っている。美容外科の先生もほいほい話に乗ってくるので、いろいろすすめやすかったのだろう。こうして人の言いなりになって生きてきたので、物事がうまくいっているようだ。騙されてはいないし、その道の専門家の言うことは聞いたほうがいいと常々思っている。騙されまいと突っ張っている人に限ってだまされる。
数年前にエジプトに行ったとき、引率者があまりにも仕切り過ぎるので猫である私は癇癪を起してしまった。少しは自由にゆっくりさせてほしい。マーケットの中の歩き方まできめられてアッタマにきたので、私は一人でホテルに帰ると言い捨てて表に飛び出した。西も東もわからない。のんきにそのへんの人を捕まえてホテルへの道を聞くと、みんな親切に教えてくれる。ところがこれが間違いのもとで、それぞれいい加減なことを親切に教えてくれて、挙句の果てはタクシーに乗せられて素晴らしいモスク見学までしてしまった。面白がっているうちはよかったけれど、夕方になったらさすがに心配になってきた。モスクの近くにたいそう立派なおまわりさんか兵隊さんらしい人がいるので、その人のあっせんでタクシーを呼んでもらった。なんと、運転手は少年。どう見ても10代の目のくりくりしたかわいらしい少年が、東洋人の変なオバサンを載せていけと言われて必死で拒否していたが、偉いひとには逆らえずとうとう私を載せてカイロの町中を走り回ることになった。はじめのうちはおびえていたが、君の運転は上手いよとかなんとかおだてているうちにすっかり機嫌をよくした少年は、やっと私のホテルに到着。その間、何人もの親切な人が道をおしえてくれた。ところが支払いの段になって、私ははたと困った。米ドルでしかも10ドル紙幣しかもっていない。現地のお金がないし、10ドルはタクシー代にしては法外な値段だから迷ったけれど、努力賞として彼にあげてしまった。少年の喜んだこと!でも、そのあと彼は元の場所に戻れたのだろうか。親方か例の警官にきっと取り上げられてしまうのだろうなと思いつつ同行者たちにその話をした。同行者たちからは「だから日本人はだめなのよ」と非難された。「でもね、私たちにとっては10ドル(円高だった)くらいはそんなに大金でもないでしょう。こんな貧しい国に来たら少しくらい騙されてやってもいいんじゃない?」と言ったらシーンとしてしまった。そのくらい貧しく子供たちが虐待されているのを目の当たりにする日々だったから、あの子がほんの半日くらいは幸せな気分でいるかもしれないし、私は食い物になってはいないと思っている。






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