梅雨明けの日、私は絶不調。七夕コンサートという小さなコンサートで演奏する日だったが、目が醒めると世界が回っていた。熱が38度あって、低体温の私には焦熱地獄だった。でもコンサートを中止するなんて考えもしなかったが、主催者から「そんなに具合が悪いなら中止しましたのに」と言われてショックを受けた。私たちの仕事は親の死に目に会えないと言われる。多少の体調不良くらいで共演者に迷惑をかける訳にはいかない。私と長年のコンビだったYさんはお母様がコンサートの前日亡くなったのに、本番が終わるまでいつもと変わらず演奏していた。終わって初めてそのことを聞いた私たちはびっくり仰天。チェリストのSさんもコンサートの朝、奥様を天国に送っていたのにおくびにも出さず、後で知って涙がこぼれた。大雪が降って交通マヒになったときも、出演者は誰も遅刻しなかった。這ってでもくるのが楽隊魂。だから七夕コンサートの日も熱はあるけれど出かけた。猛烈に暑くなった日だったから、会場に着いた時にはしたたり落ちる汗で着ているる服はグショグショ、絞れるくらいの汗。とりあえず水分補給のために水を買おうとコンビニに立ち寄った。いつもは水しか買わないのに、そのときは無意識にポカリスエットの2リットルボトルを買った。会場に着いてそれをどんどん飲む。水だとそんなに飲めないのにいくらでも飲める。それだけ体が欲していたらしい。元々スポーツドリンクはあまり好きではなくて、めったに買うこともない。本能的に体の要求に従ったので、その後は無事に演奏にも差し障りがなかった。後で熱中症の記事を雑誌で見たら、まさに私の症状に一致した。熱が出る、体がしびれる、ふらつく、尿意があるのに尿が出ない、舌が赤くなる等々。一日中エアコン点けっぱなしなのに、それでも熱中症になるとは驚きだったけれど、下手すれば命がなかったかもしれない。くわばらくわばら。
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