2013年7月13日土曜日

見知らぬ土地で迷子になる

エジプトで迷子になった話を少しくわしく。
一人で歩き始め、大体ホテルの方角はわかっていたもののおそろしい方向音痴だから、一度でも角を曲がるとわからなくなる。これは末っ子でいつもだれかの服の裾をつかんで歩いていた後遺症ともいえる。さて、マーケットを出て、やっと自由になれたことで大いに気を良くした私はブラブラと繁華街のほうへ進んでいった。まず、交差点のど真ん中で交通整理をしているお巡りさんにホテルの方向である国立美術館への道を聞いた。お巡りさんは複雑な交差点を横切って対角線上に行けと言う。あまりにもすごい交通量と乱暴な運転なのでお巡りさんは私にはとうてい渡れないと思ったらしく、腕をとって車に合図しながら一緒にわたってくれた。そしてあちらの方に行けといってバイバイ。ああ、この道はさっき通ってきたなというのは分かったので正しい方向に行っているのは確かだった。ところがその次の分かれ道に来た時に、うっかりまたお巡りさんに聞いたのが悪かった。たしか地図ではあちらなのに、ここではないという。方向違いのようだけど行ってみると、まったく見たこともない街の風景なので、これはおかしいと引返す。さっきの交差点まできて路地裏に入ると家具やさんがあって、お兄さんが3人ほどいて、声をかけてきた。足が疲れたので売り物の家具に座っていいかというと、いいと言うからしばらく休ませてもらった。ホテルの名前を言うとなにか紙にすらすらと書いて渡してくれたので、これさえあればたどり着けるものと大いに心強くなって、その辺を見学することにした。そして目当ての美術館にたどり着いたので、これならよし、ここからは一直線と安心。ところがここでまたお巡りさん登場。訊かなきゃいいのにさっき家具屋さんが書いてくれた紙を見せたら、タクシーに乗っていけと言う。タクシーに乗るほどの距離ではないから断っているのにさっさと止めてしまったので、運転手に紙を見せて乗っていくことにした。すると思っているのとは違う方向に走り出した。そのうちにどんどん見たこともない景色になっていく。でも私は信じて疑わないからホテルは間もなくだと思っていた。運転手がここだと言うから降り立ってみると・・・すてき!大きなモスクとにぎやかな街に人々が溢れていて、日本人の姿もちらほら見える。ここでお水を買って、お土産を眺めモスクを覗くとたくさんの人がお祈りをしている。なにか胸を打たれてしばらく眺めていた。しかし、ホテルはなかった。さっきの家具屋さんは観光案内をしてくれたらしい。困憊してたまたま出会った日本人観光客のガイドさんに尋ねると、そんなホテルは知らないと言う。でも同じカイロ市内でガイドさんが知らないとなると、相当マイナーなホテルなのかもしれない。ガイドさんも迷子のオバサンに付き合っているわけにいかないと、さっさとどこかへ行ってしまった。見捨てられた私は迷子の子猫ちゃんとなって、今度は犬のお巡りさんに頼ることにした。そこかしこに制服を着て立派なひげを生やしたお巡りさん(たぶん)(軍人?)がいるから、その一番偉そうな人をめがけて近寄った。迷子になっていること、パトカーで送ってもらえないだろうか、と。それは即座に断られたが、「日本人はナンバーワン」と心にもないお世辞を言ってからタクシーを呼んでくれた。というのがタクシー少年に会うまでの顛末。何人もの人に道を訊いたとき、道路の名前(例えば銀座通りとか甲州街道とか)がわかっているから安心と思っていたら、とんでもなかった。字が読めない、通りの名前なんか知らないという人が多くて地図は役に立たなかった。結局ホテルの電話番号を日本に問い合わせて、通行人にホテルに電話してもらって事なきを得た。タクシー坊やは電話もかけられないでいるから、道端にいた人が私の携帯で問い合わせてくれた。私は自分の携帯が無事に戻ってくるように、その間お祈りをしていた。携帯は無事戻ってきたし、すごく親切な人ばかりで無事にホテルに帰れたのは幸運だったかもしれない。あるいは今頃殺されてピラミッドの砂地に放置されたり、ナイル河でワニに喰われたりしていたかもしれない。ほんとうに無鉄砲だったと反省するが、その時は楽しくて、ああ、見知らぬ土地にいるのだなあとワクワクしていた。そしてこの時の旅行で一番楽しかったのが、この迷子になった時のこと。ほかのことはあまり思い出せない。今は少し騒乱状態だけどカイロはいいところですよ。でも一人歩きはしない方が。どんな危険が待っているかわかりません、なーんて、人には言うけど。







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