2010年3月29日月曜日

生徒はウィーン。先生は・・・・

今年K大を卒業して、新社会人になる生徒が、挨拶にきてくれた。彼は高校と大学のオーケストラで、7年間ヴァイオリンを弾いていた。子供の頃から弾いてはいたものの、ごく普通のお稽古事としていたし、高校受験で中断していたので、特にずば抜けているわけではなかった。しかし、高2の時、ソロを弾かないかと言われ、だいぶ迷っていた。自分のレヴェルでコンチェルトがひけるだろうか。相談されたので、即、引き受けるように説得。とにかく、やってみなければわからないでしょう。もし、どうしても出来そうも無いと思ったら、断れば?  さて、それから曲を何にするか。やってのけられるのか。K大オーケストラにはコンクールに入賞しているような、上手い子がゾロゾロいる。でも、学年単位でソリストを決めるので、同学年生がたまたま彼と同レヴェルだったりすると、チャンスが回ってくる。まず、前髪をつかませてから、さてどうしましょう。モーツアルトでは、オーケストラ編成が少なくて、他の子たちが不満だと思うし、かといってブルッフやメンデルスゾーンが弾けるレヴェルでは無い。派手でオーケストレーションが分厚くて、ソロが比較的楽で、考えてラロの「スペイン交響曲」これなら、なんとかなりそう。    それからは、明けても暮れてもラロ。本当に良く努力してくれた。実を言えば、途中、挫折も考えていたのだけれど、なんとか、本番にこぎつけて、弾いてのけました。緊張のあまり、一人で歩けず、親友の指揮の学生に支えられて登場。ドキドキして見守る中、始まった。力みすぎて音がつぶれたりした場面もあったけれど、無事弾きおおせて、先生としてはウルウル。その粘りと努力に脱帽。早くもそれから数年、卒業旅行はヨーロッパに演奏旅行だと。私だって演奏したことの無い、ウィーン楽友協会やアムステルダムコンセルトヘボーだの、うーっ、うらやましい。その前の学年の生徒の時もそうでした。私が鹿児島の空港でバスを待っていると、「これから、ウイーンに出発します」と、メールがきたので、「生徒のあなたはウイーンで先生の私は鹿児島に出稼ぎ。ずいぶんじゃない?」でも、生徒が悪いわけじゃなく、先生が甲斐性なしなのです。

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