2010年3月1日月曜日

喧嘩の仲裁

この季節にたまに雪が降ることがありますね。それで、思い出すこと。 ある時、猫魔家の外壁の塗装にきてもらったことがあった。しばらくすると、外が騒がしい。大声が聞こえて、どうやら喧嘩らしい。そこは野次馬の猫魔さん、表へでてみると、なんと・・塗装屋と斜め向かいの家のご主人が鼻をつき合わせている。エスキモーのご挨拶かと思ったが、どうやら、二人とも怒っているらしい。考える事をしない猫魔さんは、いきなり二人の間に割って入った。どうにか引き分けて、塗装やさんを家に引きずって行き、今日はもう仕事しないで帰って頂戴。と、お願いして帰ってもらった。そのときお向かいさんは、「待ってろよ。今組の若い者つれて来るからな」と、のたまった。組?なんだろう。 30分くらい後、外に出てみると、いやに沢山車が止まっているのに、気が付いた。そして、お向かいさんが四つ角の真ん中に立ちはだかっている。猫魔さんが近くに行くと、一斉に車のドアが開いて、中から男たちが出てきた。なんなの、この人たちは。  猫魔さんはお向かいさんに「ここで喧嘩しないで。子供たちも大勢いるから、危ないじゃないの。するなら、多摩川の河原かどこかに行ってやってください。」と云うと、「あちらが先にしかけてきた、」とかなんとかブツブツ言いながら、戻って行く。そして、男たちも車に乗って行ってしまった。そのあと、警察官が来てお向かいさんのことを聞くから、「ご近所のことだし、口喧嘩だから、事を大きくしないで。」と、言ったら警官は、塗装やさんから仲裁をたのまれて来たのだと言う。   その夜、寝床でハッと気が付いた。あの人たちはその「筋」の人たちなのだ、と言うことを。突然、なんて向こう見ずなことをしたのかと思うと急に恐くなった。組って、その組なのね。あの車の男たちもそうなんだ。気が付かない人も馬鹿でしたね。         そして、次の日、何食わぬ顔で塗装やさんは、仕事に戻った。    その数日後、春先に雪が降った朝、お向かいさんがうれしそうに雪を見ていた。あとで聞いたら、新潟の人らしい。ふるさとを思い出していたのかな。     母に塗装やさんがそういう人だと言うと、「あら、あの子おとなしい、いい子だったのよ」  母にかかると、みんな子供になってしまう。 いい子がどんな風にその筋の人になったのか。    それにしても、素人のおばさんが仲裁にしゃしゃり出てくるとは、二人とも思わなかったのだろう。 二人に道ですれ違うと挨拶をされるようになった。猫魔さんには色々な知り合いがいるのだ。

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