2012年4月24日火曜日

ピアニストをはしご

よっぱらったお父さんが「うーい、もう一軒いこうよ。」なんて誘い合って行くのがはしご。わたしは飲み屋ならぬピアニストの家をはしごして合わせてもらって、今日は些か疲れた。午前中、南荻窪のOさんとリヒャルト・シュトラウスのソナタを、終わって二人で連れ立って次のピアニストSさんの待つファミレスに行って3人でランチ。終わるとOさんは自宅に戻り、今度は関町のSさんの家へ。そこでベートーヴェンのクロイツェルソナタを合わせた。最近のらりくらりと楽をしていたので、これはかなりきつい。シュトラウスはかつて一度演奏したことはあるものの、それからかなり時間が経過しているので、記憶が怪しくなっている。Oさんは楽譜を見ないで引き受けたものの、練習を読み初めてあまりにも音が覚えにくいので大変だと言っている。ふたりでヨタヨタ弾き始める。でもなんたって曲が面白いので、どんどん楽しくなる。ゆっくりと合わせ始めると、自分がどれほどいい加減な人間であるか良くわかる。3連音符と16分音符の違いなどをきちんとしていないことを指摘され、感情にまかせてやたら伸び縮みしすぎているのも、相手がいるとよくわかる。2時間ほどしてなんとか一楽章は通った。それだけでヘトヘト。クロイツェルはすこし前から合わせ始めているので、特に合わないと言うわけではないけれど、あまりにも曲のスケールが違う。高い山に立ちはだかられているような気持ちになる。ベートーヴェンは一番苦手で今までなるべく避けてきた。幸いSさんが引きずっていってくれるので、ようやく苦手意識が少なくなってきた。でも、まだまだ。人間の出来がやわなので、硬質なものはどうも性に合わない。シュトラウスのような華やかで官能的なもののほうが弾きやすい。臆面もなく蕩けられるのは音楽の上だけで、実生活ではそうはいかない。そのギャップを楽しめるのもいい。しかし、クロイツェルはやはりヴァイオリンソナタの頂点に立つものと言える。技術的にどうこうではないが、その奥の深さ、大きさに圧倒される。この曲をいつか手中に納められる日はくるのだろうか。まだまだピアニストに引きずって行ってもらわないと、その日は来ない。とうぶんピアニストのはしごは続きそうだ。

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