2012年4月17日火曜日

今朝

三毛と白黒が現れた。無事だった。少し安堵。でも、ノラは来ない。ノラや、どこに行ってしまったの?雄猫はふと姿を消すものだとは分かっている。いつも猫のいる家庭で育っているので、ネコのことは良く知っているはずなのに、雄猫の考えはよくわからない。あくまでも繁殖が彼らの生きている目的ならば、メスを求めて放浪するのもやむを得ない。深く考えるのはよそうと思っていても、つい考えてしまう。どうぞ、無事でいてくれますように。野良猫にとって安楽な暮らしは堕落だと彼らは考えているかもしれない。長年のノラ生活で養われた警戒心はすさまじいものがあって、半年にわたり親切にしてきた私に対してさえも絶対に気を許さない。でも親愛の情はあるようで、私が後ろを向いた隙にそっと手を出して私のパンツの裾を触っていたりする。こんな警戒心の強いノラがまんまと人間に捕まるわけはないと思うけれど、人間は邪悪なものを生み出す天才だから、捕獲するための器具も様々工夫されているに違いない。雄猫にはメス猫のフェロモンが付いた捕獲器などが使用されるのではないだろうか。マタタビのように猫を腑抜けにするものもある。三毛と白黒は飼い猫のようだし、メス猫でもあるからひっかからない。ノラのように強烈にメスを求めている猫にとっては、一瞬警戒心も忘れるような方法があるに違いない。それに引っかかったらひとたまりもない。ノラには独特のオーラがあって、なりはみすぼらしいけれど男性的な魅力は感じられた。炯々とした目や、何かを求める時の必死の様子には心打たれるものがあった。そこいら辺の腑抜けたもやし兄ちゃんたちにお見せしたいくらい。でもしょせん猫は猫だから、ひとには勝てない。昔飼っていたニブという雄猫に共通するものがある。ニブは貧相な鼻炎の猫で、うちの駐車場で息も絶え絶えなのを保護したけれど、今まで飼ったねこの白眉。うちに来た人たちは彼を見ると感動して「すごい猫だ」「立派ですねえ」「悟りを開いた高僧のようね」などと表現してくれた。外見は痩せて貧弱で鼻炎で、ただのきたない猫に見える。でも彼の行動は素晴らしかった。新しい猫が来ると彼は黙って受け入れる。決して脅すようなことはしない。しかもうちの猫が外で危険な目に遭うと、体を張って守ろうとする。犬とでも一戦を辞さない。どんな猫でも彼の前ではひざを曲げた。(猫のひざって?)巨大猫のゴンベエが尊敬してやまないのがニブだった。体の大きさはニブの3倍くらい。でも、食事はニブが食べ終わらなければ決して口を付けない。これってすごいことだと思う。ノラも共通したところがあって、きっと次の保護者が可愛がってくれるだろう。百閒先生のように泣くのはやめよう。

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