2012年4月15日日曜日

消えたノラ

ここ2日ほどノラが姿を見せない。罠にかかって捉えられ保護センターと言う名のアウシュビッツに連れて行かれたのではないか、近所の猫嫌いに毒餌を食べさせられたのではないか等々心配は尽きない。今朝ノラの大敵の巨大白猫が現れた。そのせいでノラは家に近付けなかったのだろう。たぶん、命はあると思うのでもう少し様子をみることにしよう。一昨日の朝出かける時にノラの大好物のフランクフルトソーセージを一本与えて、そのあとうんともすんとも言ってこないから、どこかでじっと鳴りを潜めているようだ。窓を開けて「ノーちゃん」と呼ばわると、隣の猫嫌いのおっさんが雨戸をガラガラ音をたてて開け始めた。ガタピシガタピシわざと大きな音をたてていらだちを表現している。毎朝お経が聞こえてくるから仏教徒であるらしいが、生き物すべてに優しいのが仏教の教え。なのに、子育て中の母猫をひどく邪険に追い払ったりするのは、いくら猫嫌いでも許せない。先年トルコで見た風景。海に向かって緩やかに下って行く道のそこここに猫が寝ていて、大きな髭を蓄えた男たちが猫の頭をそっと撫でで通り過ぎて行く。一人や二人ではなく沢山の人がそうやって歩いている。たいてい男の人なのが面白い。日本だったら女子学生あたりが「きゃあ、可愛い」とか言って騒いで猫が逃げてしまうけど。トルコの猫は悠々と誰が通ろうと寝ている。町にしっくりと溶け込んで置物のようだ。あれはターッキッシュバンという種類のねこだったのかどうか、ちゃんと見てくればよかった。外国に行って思うのは、動物たちが人を恐れていない。カナダではリスやアライグマでさえ人が通ってもせっせと自分の仕事をやっていた。人の方もごく自然に傍を通り過ぎていく。インドなどはなおさらのこと。牛や犬はもとより、サルがいても皆平然としている。日本だったら捕獲騒ぎになるところなのに。猿だって人が何もしなければひっかきはしない。ローマのコッロセウムの猫はあいにく見損なったが、野外劇場で猫がオペラのステージを悠々と横切って、その日一番の拍手を浴びたとか、オペラの最中にステージで寝てしまったとか、逸話は沢山ある。そういう時に日本だったら追い払われて、あげくに捕獲されてしまうのだろう。ノラが無事でいますように。

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