2013年5月2日木曜日
練習の初めには
朝はボウイングのチェックから始める。鏡で立ち位置楽器の構え方、弓の軌道などを目で確かめる。鏡で見なくても耳で聞けば十分なのだが、耳が果して信頼できるかどうかが問題なので、両方から攻めていく。その日の体調に依って微妙に構え方が変わる。体が柔らかい日には肩当て無しでいけるけど、体が硬い時は肩当てをつけてほぐれるまで待つ。しばらくロングトーンを続けていると段々体も温まり、それから楽譜に向かうのが最近のパターン。忙し過ぎる頃は、そんな悠長な事はしていられず、いきなり譜読みを始めたので、まだ鳴り出さない楽器を無理矢理鳴らそうとして力む事が多かった。今や時間はたっぷりある。楽器が振動を受け入れるまでゆっくりと馴らしていく。これが最近の一番嬉しいこと。鎖骨から体に振動が伝わっていき、楽器のウオーミングアップも済むと、後は楽々音が出る。ほとんど力まないで音が出せる。二年間お付き合いしたロンドンアンサンブルではヴィオラを弾いたが、日頃ヴィオラは弾いていないので楽器が鳴り出すまでが大変。鳴ってしまえばしめた物で、これもほとんど力はいらない。私は体が小さいのでヴィオラは本来体に合っていないのだが、音自体が好きでヴィオラ弾きになりたいと思った時期もあった。それでも体格からすると、毎日弾くのは体を痛めるのは必定なので、あきらめたという経緯がある。とにかく弦楽器は音作りから始まり音程との格闘があって、そこから初めて音楽に取り組める超難しい楽器なのです。お子さんにヴァイオリンを始めさせたいと言ってくる親御さんには、生半可な事では弦楽器はできないからおやめになったらと勧告することにしている。それでも始めるならどうぞいらっしゃいと。youtubeでヴァイオリンのレッスンの動画を見つけたので見ていたら、納得のいかない事があって、それでもアマチュアの人たちがこれを参考にしてしまうのだろうなと少し心配になってきた。ある人は2重音の弾き方のレッスンをしていて、ハモっていないのに平気でそのまま弾いている。最後にたまたまかどうか、ハモったのでほっとした。なんでも2つ音が出ていればいいというものではない。公開するならご自分の耳を磨いてからどうぞ。最近私が暇をもてあましていると嗅ぎつけた友人が、それなら同じ日に二人のピアニストと合わせましょうと言ってきた。ベートーヴェンと、リヒャルト・シュトラウスのソナタ。どちらも違う意味での難曲だから、非常に楽しみにしている。
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