2013年5月22日水曜日

超越した人生

「徹子の部屋」に出演された室井摩耶子さん。御年92歳。現役のピアニストで、世界の優れた150人のピアニストの一人に選ばれたという。ピアノは例えば「月光の曲」を楽譜どおりに弾くとこうなる。でもベートーヴェンの心で弾くとこうなると言って弾きわけて見せた。最初はいつもよくそこいら中で聴かされる演奏。そして次は天の音楽だった。聴いていて涙が出た。しなやかな指が鍵盤を走る。初めてのリサイタルが終戦の年で、演奏を終わって自宅に戻った時に空襲警報が鳴って、さっきまで演奏していた日比谷公会堂のあたりが火の海になったそうだ。間一髪、神様は優れた才能を惜しんで彼女を助けたのか。いいや、神様はそんなえこひいきはしないはずと言っても、やはり運のいいひと悪い人がいるのは否めない。1960年ドイツベルリンに留学して学んだことは「音楽は一生かかっても出来ない」ということだったそうだ。今でも毎日5時間の練習。ピアノの神様は嫉妬深くて、他のことに気をとられるとダメになるそうだから、私のようにあちらこちらフラフラしているからヴァイオリンの神様に見放されるのだとやっと分かった。私の大好きなシューマンの「子供の情景」から2曲「異国から」「トロイメライ」を演奏されたが、なんだろう、もう楽譜も音楽も超越した、一つの世界の存在を感じるというか・・・・よく表現できないけれど、存在そのものが素晴らしいと言える。週に数回はビーフステーキを召し上がるそうで、かくしゃくとして言葉も眼差しも少しの衰えもない。肺がんの手術もなさったそうでそれを気に留めることもなげに淡々とお話なさる。超越とはこのことかしら。脱帽!何回でも脱帽!我々並の人間が真似出来るものではない。平凡な人間はそれなりに毎日真面目に生きるしかない。もし、来世があるなら、今度はもうすこし早くヴァイオリンを始めて、もうすこし、いや、猛烈に勉強しないと、一生かかっても出来ない音楽の、半分位にもたどり着けない。あーあ、

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