2013年6月27日木曜日

逆らわない

私はもう年をとって尻尾が7本にもなろうかという化け猫。それでも未だヴァイオリンを弾く仕事も時々はもらえるというのも健康で故障がないから。肩も腕も指も以前のように素早く動かすことは出来なくても、オーケストラの早い曲にもなんとかついていける。これは生まれつきの体の柔らかさ(親に感謝)もあるけれど、物事に逆らわないという性格の賜物かもしれない。音楽で身を立てるなんて自分自身も親も夢にも思わなかったから、初めての先生は近所のアマチュアのお兄さん。それでも譜読みが早く集中力があったから、曲はすぐに弾けてしまう。ところが難しい曲は弾けるようになっても、基礎的な例えば楽器の構えかた、左手の指の運びかたなど、基礎のところがしっかりと出来ていないまま、音大を卒業してしまった。だからどこもかしこも力が入っていて、腱鞘炎になりかけるし音はでないし、そのままではすぐに壊れてしまったことだったろう。それでも自分で色々考え本を読み、人の言葉に耳をかたむけているうちに、なにがいけないかが見えてきた。すべては重力にさからうなということが。長年音に対するコンプレックスがあって、豊かな響きが出ないのは私の力が足りないからだとおもっていた。そしてぐいぐいと押し付けて弾くくせがついてしまっていた。それが全く逆だとさとったのはずいぶん後にになってからだった。まず楽器は顎ではさむのではなくて肩と鎖骨に載せるもの。それが大事なところで、今だに顎ではさまなければポジション移動が出来ないじゃないかと言う人がいるのは驚きだ。そういう人にはやってみせてあげるから私の処へ見に来てくださいな。顎は軽く載せるだけ。顎に力が入って肘肩を上げているなんて不自然な形は、長時間の演奏に耐えられるわけがない。かならず故障する。肩をおとすと肘も下がる。そして腕の重みは弓に載っかる。弓はその分重くなって、無理に人差し指などで押さえなくても大きな音が出て、しかも押さえ付けられない分振動が止まらず、豊かな響きになる。左手の指の形も又、自然に音程がとれるようになっている。左手を下から楽器の処まで持ち上げる。そのままの形で指をおいて行くと人差し指は丸くなるが中指は少し伸びる。薬指はもう少し伸びて小指はほぼまっすぐになる。それを無理して全部の指を同じように丸くしないといけないと思っている人がいる。その分余計なことをしなければならなくなる。音程が崩れる。この悪循環は自分でものを考えないところに原因があると言ってよい。考えれば自然な形がどれほど必要か、そしてヴァイオリンを弾く姿勢がどれほど理にかなっているかが分かる。ものごと全て同じだと思うのは、楽器に限らずどんなジャンルの人でも名手の言うことは皆同じ。「力を抜きなさい」と。重力に逆らわなければ力は抜ける。でも言うは易し、行うは・・・本当に難しい。














4 件のコメント:

  1. 私も大学時代4年間体育会で武道やってたから、ネコタマさんの話はすごくわかります。正しい姿勢で立つことはとても大切で、体幹がちゃんと鍛えたれてないと無理です。ましてバイオリンを抱えては。これからも元気で化け続けてください。

    返信削除
  2. ニャーオ、フギャー、我輩は化猫である。
    nyarcilさん格好いい!武道ってなにをされてましたか。
    私もなにか一つだけでも武道を身につけておけばよかったと最近思います。

    返信削除
  3. レスおそくなりすみません。少林寺拳法やってました。二段とって気が付いた、突き蹴りばかりで身なりも気にしなくて化粧気もなくて、せっかく黒帯とったのに誰も襲ってくれない状態になっている自分に。それであわててお化粧始めたのは、ネコタマさまと同じかも。あー、人生で何か損したかもという気持ち、ちょっとあります。orz

    返信削除
  4. ははは、せっかく黒帯とったのに誰もおそってくれない・・・あははは
    わたしなんか武道やってなくてもその状態ですよ。ああ、おかしい。

    返信削除