2013年6月21日金曜日

ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

武蔵野市民文化会舘大ホール
指揮 ミヒャエル・ザンデルリンク
ベートーヴェン  
交響曲第6番「田園」  第5番「運命」

このようなポピュラーなプログラムはマニアックな人にとって、ふん!と言われかねないが、あらためてこの2曲がいかに傑作であるかを思い知らされたコンサートだった。今日初めて気がついたのは、私が客席でこの2曲を聴いたのはほとんど今までなかったということで、運命などはおそらく100回を超えるほど弾いていると思うのに、客観的に改めてベートーヴェンの素晴らしさを認識しなおした。なんという崇高で剛直でそれでいてデリケートな曲なのか。1曲目の「田園」が始まったとき、おや?と思ったのはティンパ二がものすごく湿気った音を出したことで、おそらく開演寸前まで楽器の搬入口が開いていたとか、そんなことはないにしても、かなりの湿気がどこかから入っていたに違いない。空調が効くのが遅かったのかもしれない。とにかくひどく音がこもっていて、奏者は苦労しているだろうなあと思った。休憩のあとは乾いて鳴り始め、すごくいい。弦楽器もそうだが、今の季節、湿気には苦労する。単に叩きかたの問題だったのかはよく分からない。いつも外来の演奏家は魅力的、なにが違うかというと持っているハーモ二ー感。ズシッと下の方から鳴ってくるえもいわれぬ響き。日本人は本当に上手くて決して欧米人に技術では負けていないのに、日常の生活にハモる場面が少ないから、上手く響きを捉えたにしても彼らの持つ天性の地鳴りのような響きが今ひとつ出ない。これは言葉の発声や教会のコーラスなどで培われるものかもしれない。客席で聴いているうちに涙が出そうになった。感動してというより自分で弾きたくて。雀百まで踊り忘れず、業が深すぎるのか。

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