2013年6月29日土曜日

入れ墨

隣のベッドから女性のかすれた声が聞こえる。「ああ、もうだめ。こわーい」
その人はよほど痛みに弱いらしい。
前の投稿で普段は全くのすっぴんと書いたが、あれは一部ウソだった。実はお化粧が下手で不精者だから眉毛なんて適当に書いてあるのが分かればいいでしょ的な考えだったが、やはりステージに立つし、少し前まではテレビ出演も多かったから、いくらなんでもうまれたままとはいかない。それで眉とアイラインは入れ墨してしまおうと考えた。ただ入れてしまうとどんなに失敗作でも中々消せるものではないから、慎重に上手な技術者を探した。そして友人が素敵な眉毛を入れていたので、紹介してもらった。とあるマンションの一室をおとずれると、茶髪でタンクトップのド派手なおねえ様に迎えられた。説明を受けて納得したので施術をお願いした。痛みといってもそれほどのものではない。チクチクと針が入る瞬間が痛いだけで、すぐにほかに移動していくから一瞬一瞬耐えていればいいのだから。それでも隣の方は途中で気分が悪くなったらしい。中には刺されながら眠ってしまう猛者もいるらしい。私は眠れはしないが、それでもチクチク以外は暖かくて、綺麗なおねえさんが何人か居る部屋は非常に居心地よかった。これはアートメイクといって、一種の入れ墨。眉を描いてもらってしばらくしてからアイラインもいれてもらった。これで目の周り関係はすっきり。顔を洗っても落ちないから外出先でも洗える。ある夏の暑い日に東京文化会舘にコンサートを聴きに行ったとき、ひどく汗をかいたので開演前、洗面所で顔をザバッと洗って鏡を見たら、流れ落ちたマスカラが目の下に張り付いてとんでもないことになっていた。あまり可笑しいので自分でフッと笑ったら、隣にいた人が鏡の中で真面目な顔をしてこちらを見ていた。一緒に笑ってくれればいいのに、恥ずかしい思いをした。そのころはマスカラをつける習慣がなくて、たまたま前の日に友人からプレゼントされたので久々につけていったのを忘れていたので、こういうことになった。粗忽でこんなことをしでかすので、なるべく自分でお化粧をしない方法を考えてアートメイクを選んだのだが、日が経つと色が変わってくるのでケアが忙しい。そんな時にもっと良いものがあると勧められて行ってみたのがファインメイク。色が変わらないし長持ちするというので試してみた。きびきびしたいかにもキャリアを積んだメークアップアーティストが対応してくれた。こちらの方法だと数年は色落ちしないという。今1回目の施術が終わってもうすぐ2回目の仕上げを待っているところ。1週間くらいはかゆいのを我慢。1ヶ月後に2回目の色入れをして出来上がり。これで数年、不精が出来る。以前通っていた美容院で面倒だから手のかからない髪型にしてといったら「きれいになるのに面倒くさがっていたらだめだよ」とこっぴどく叱られた。それはそうだけど、人には才能があって、お化粧の上手な人、下手な人がいるのはしょうがない。私は下手だからなるべく手がかからないようにしたい。美しい人のお化粧時間が長いのは、自分の顔を見ていても飽きないから。私はみているとムカついてくるから30秒。




















2 件のコメント:

  1. 面白い!なんか、何でも試してるんですね。その勇気に感心です。それでその若さを保っているんですね。(いえ、同じことやろうとは思わないです、怖くて…)

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  2. なにかの本で読んだのですが、痛みを感覚としてだけ捉えればいいと。
    痛い時は、これは単なる感覚だと思っているとなる程我慢できます。

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