2013年6月4日火曜日

音響

前の投稿に対して、会場の前の方だとあまり音が良くないことを知らなかったというコメントいただきました。そうなんです。例えば身内や友人のコンサートで顔の表情まで見たいとか、演奏者の指使いがしりたい、オペラだからあまり遠いとお芝居がよく見えないなどという場合は前の方で見ることもあります。それはあくまでも見るということに重きがおかれた場合です。子供のおさらい会などで、音のだし仕方が未熟なら、どこで聴いても大差はありませんね。今回の弦楽アンサンブルなどは前の方で聴くとコンサートマスターの音が立ってしまって、全体のバランスがよく分かりませんでした。チェロもよく聞こえない。コントラバスにいたっては、存在するのかどうかもあやしい、となりました。なぜかというと音は上にいきます。そして弦楽器、とくにヴァイオリン,ヴィオラのように表板のF字孔から音が出る場合は、楽器より低い位置で聴くと裏板の下に耳がくることになり、折角の響きが伝わりません。私たちはソロを弾くときに楽器の向きを非常に気にします。ですからヴァイオリンの場合、体がお客様の正面にまっすぐにして立つことはありません。皆さん斜めに立って楽器の表板が客席を向くように、そして、音が会場のどこに向かえば反響がいいかをリハーサルでチェックします。それでステージでの立ち位置がきまります。弦楽四重奏などの弦のアンサンブルの場合ヴィオラは非常に不利で、たいてい客席から向かって右側(上手)に座るので、裏板が客席に向いてしまいます。チェロは客席に正面になりたいので中央に座りたい。それでチェロとヴィオラの間でより有利な場所とり合戦が繰り広げられることもあります。チェロはコンサートマスターの役割を持つこともあるので、ヴィオラはしぶしぶしたがう。ヴィオラ族が屈折した感情の持ち主が多いのは、そんなことにもあるのではないかと思います。ちなみに私はヴィオラ大好きで、本気でヴィオラ弾きになりたかった。でも、ご存知の様に私は非常に小柄なのでなれなかった。ヴィオラは楽器が大きくて、体格のいい人でないと扱うのに無理があります。最近はヴィオラも日の目を見るようになりましたが、かつてはマイナーな楽器として扱われていました。ネットで探せると思いますが、ヴィオラジョークというヴィオラのことをクソミソに揶揄しているサイトがあると思います。今あるかどうか知りませんが、一時期ガクタイの間で話題になりました。ひどいことを書かれてもヴィオラ弾きはいっしょにうふふと笑っているような人たちで、その辺も私の性格にマッチしています。もっとも、それぞれの楽器のジョークがあるそうなので、槍玉に上がっているのはヴィオラだけではなさそうです。かつてプリム・ローズというヴィオラの名人がいて、ヴィオラはソロ楽器としても非常に魅力的な楽器であることを世に知らしめたので、最近はヴィオラも市民権を得ています。とにかく今回のヴァシュメットのような素晴らしいソリストも数多く出ています。なんだかヴィオラ擁護になってしまいましたね。あの中途半端な音域ともそもそした音が大好きで、本当に色っぽい楽器だと私は思っています。さて、なんでしたっけ・・・あ、そうそう、会場の音響の話ですね。私も時々は東京文化会舘の小ホールでソロを弾くこともあります。私は上手側客席一番後ろのコーナーの対角線上に向かって、弾くようにしています。その辺から自分の音が戻ってくるのを聴きながら「今日は音が伸びている」とか「やばい、萎縮しているぞ」とか考えることもあります。そこまで行って戻って来るようなら、客席の隅々に届いていると思っています。どの会場でも上にいくほど雑音が消えて純粋に楽音が聞こえ、全体のアンサンブルも分かるので、私は1階なら中央通路後ろ、但し2階席の庇の下は最悪だからそこは避ける、2階の正面の前列などがいいと思います。この次コンサートに行かれたら、色々な処で試して聴いて見てください。会場も楽器の一部になるので、出来るだけ良い会場で演奏したいというのが私たちの切実な希望です。









3 件のコメント:

  1. おー、凄く参考になりました。ありがとうございます。
    ネコタマ様、日々音を研鑽されているのですね。若さの秘訣はきっとそれですね。
    楽器別ジョーク、面白そうですね。探してみます。

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  2. 英語版です。         
    nyacilさまは語学に堪能でいらっしゃると思いますが
    私は四苦八苦でまだ全部理解できていないのです。
    他人に勧めておいて無責任ですけど。


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  3. お名前のrが抜けていてごめんなさい。
    ほらね、このとおりおっちょこちょいなのです。

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