2014年1月12日日曜日

仕事って大変!

音楽教室に来ている私の生徒の仕事場が、今よりも更に遠くに配置換えとなったのでしばらく休会すると言ってきた。
今まで、毎週仕事の帰りにレッスンにきていたものの、あまりの激務に度々休むことを余儀なくさせられていた。
ヘトヘトになって本来の時間の1時間遅れで現れることもあった。
保険関係の職場らしいが、徹夜したり、決算時期が近いと殆ど寝る間もないくらいの忙しさらしい。
その上今度は片道2時間もかかる仕事場に配属されてしまったので、会社の帰りにレッスンに来るなどはとうてい不可能となってしまった。
彼は教室きっての優秀な生徒で、猛烈に忙しい仕事の合間にチャイコフスキーやサンサーンスなどの難曲に挑戦してきた。
今は、発表会に向けてブラームスの協奏曲の譜読みを始めたばかりのところで、すごく張り切っていたのに。
仕事が終ってから夜中に練習していると、疲れて失神しそうになると言う。
それでもどんなときにも立派にやってのけるのがすごい。
ヴァイオリンに対する情熱は並々ならぬものがあって、本当はヴァイオリニストになりたかったとか。
中学校進学の時に、子供の時から習っていた先生に相談したらしい。
音楽の道に進みたいと言ったら、先生に反対されたという。
先生にしてみれば男の子だし、音楽業界に進んでも果して食べていけるか心配だったのだと思う。
私だったら、一番好きなことをおやんなさいと言ったと思う。
ただ、その時期にその先生に師事していて、反対されたからと言ってそこで諦めるようなら、やはり音楽への「道」が出来て居なかったのかなとも。
もしその時の先生が私で、そこで「やりたいことやれば」なんて煽ったら、彼は今頃苦難の道にあえいでいたかもしれないから、どちら幸いだったかはわからない。
よく言われることだけど、人はあらかじめ決められた「道」を行くだけであると、それを運命というのかもしれない。
どうしてもと望んだワケではないのに、いつの間にか音楽家でございと居座っている私の場合は、目の前に道が出来て居て、のんびり歩いていたら目的地に着いてしまったみたいなところがある。
彼は音大に進めば、魅力的な音色と努力を厭わない性格で、プロになれたかもしれない。
それでもオーケストラに入ればそこそこ安定するけれど、フリーでは浮き沈みが多き過ぎて危険だと考える様なら無理かもしれない。
結局安定をとってしまったのだから、上手なアマチュアとして人から褒められながらやっていくのが運命だったようだ。
多分、安定をとったのは彼の性格がそれを求めているからで、音楽家としてはそこのところが多少気になる。
ガクタイ、特にヴァイオリン弾きは、安定した性格が一種の枷になることもあるのでは・・・良い意味で、多少キチ*イでないといけないかも。
私の元生徒が現在音大生で沢山の先生にレッスンを受けるのだが、どの先生からも、内面からの欲求が少なくて音楽に表情が出ないと言われるそうだ。
その子は子供の時からプロを目指していたので、私から猛烈に基礎をたたき込まれて、技術的には全く問題ないと他の先生達からも言われるのだが、問題は内面のマグマが少ないこと。
彼女が安定した穏やかな性格のせいなので、そのことが指摘されるなんて、芸術家は理不尽な世界に生きているものだ。
大学の心理学のゼミで見せられた絵は、統合失調症の患者の描いた病中と治療後の作品。
治療するとこんなに穏やかな美しい絵になりますと教授はおっしゃるけれど、私は病中の絵の方が断然素晴らしいと思った。
感想を述べると教授は「そこが難しいところですね。芸術家の場合は治療していいかどうか考えます」とおっしゃった。




















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