2014年1月13日月曜日

今年も出遅れ

ロンドンアンサンブルのタマーシュ・アンドラーシュが去年の12月にプログラムに載せたのがクライスラー・プニャー二「プレリュードとアレグロ」大変な名演だった。
目にもとまらぬ早さで「これを弾くのは5才の時以来かな」とうそぶいていたそうだ。
そして、なにごとが起きたのか、私の2人の生徒達が揃ってこの曲を弾きたいといいだした。
2人ともタマーシュがこれを弾いたのは知らないはずだから、彼に刺激されたのではなさそうだ。
巷で流行っているのだろうか。
どうであれ、この曲は私も大好きだから、弾いてもらう事に異存はない。
それで私も5才のタマーシュに遅れること10年目に弾いただけなので、古い楽譜を探したが例によって見つからない。
コピーをさせてもらって自分でも弾いてみると大層面白い。
しかし、タマーシュは易々と弾いていた後半の早いパッセージがもつれる。
途中で集中力が途切れてわけがわからなくなる。
私は十代の頃弾いたので、それほど難しいと思った記憶はない。
今弾いてみるとけっこう難しい。
こんな曲どうやって暗譜したのかも思い出せない。
それでもすぐ譜読みは出来たが、途中で音符がゴチャゴチャに固まって見えて指が止まる。
いつも生徒に言うのは、途中でつかえるところが一緒なら、そこだけ取り出して磨き上げてから、もう一度戻して弾きなさい。
いつも同じところでつかえるようなら、練習方法がわるいのよ、なんて偉そうに言っていたのが我が身に戻って来る。
同じ場所でハタと止まってしまう。
指の運びをそこだけじっくりと練習して又元に戻って弾いてみる。
又そこで止まる。ああ、やんなっちゃった、これでは生徒達と同じではないか。
そして気がついたのは動体視力の低下だった。
目が弾く速度に付いていけないのだ。
16分音符が続くと、目が追っている音符よりも先に指が動く。
指の方はそれこそ毎日もの凄く動かしているから衰えていないが、目の方がかすんできていて途中でギブアップする。
指が先に行ってしまうため、音符を読むのが遅れてしまう。
目も毎日使っていると訓練されて良くなるのなら、どんな訓練でも受けたいと思う。
自宅付近を新幹線が走っているから、毎日眺めてみようかしら。
猫の走りを観察しようか。
老化現象だから、これは治らないものなのか。
車の運転や、スキーをしているときはさほど感じないのに、音符を読むのはそれ以上に目が早く動いていることがよくわかる。
それも先を読みながら問題を考えながら弾いているので、瞬時に判断して決定しなければならないことが多い。
迷ったらそこで音楽はストップしてしまう。
反射神経が試練に晒される。
思えば長年使ってきた目や脳みそは、もうだいぶ古びている。
さっき数えてみたら猫のたまさぶろうも早くも18才。
人間なら長寿でお祝いしている歳だわ。
私も一緒に歳をとっているのだから色々仕方がないか。
たまは高齢にも拘わらず、夜中に大きな声で『ニャー』と鳴くと張りのあるテノールで、近所迷惑この上ない。
私の音もあんなふうだといいのにと、いつもうらやんでいる。
早く取りかからなければいけない譜面がどんどん送られてきて積み上げられていくのに、まだお正月気分。
ほら、始動開始!早く早く。

























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