山田 一番困るのはね、これお名前言えないけど、女性のね、閨秀のピアニストといわれた人。いわゆる有名なピアニストね。
舞台袖で5分間腰掛けてて。
イブニングで肩から上全部出てるでしょう。
「山田さん、ちょっと肩揉んで」って言うんですよ。
ちょっとどうするのって。
肉がいっぱあるのに生の肩を揉まなきゃいけない。
でもたいがいね、舞台袖にはタオルが置いてあるもんですから。タオルを肩にのせて、こんなもんですかね、「う~ん」って。
そういうのはお客さんわかりませんから、わかっているのは裏方さんとマネージャーとね、だけだから。
そういう面白い話はたくさんあります。
まあね、あんまり汚い話はしたくないけど演奏途中でね、男性のウイーンのピアニストなんだけど、ベートーベンのソナタを弾くわけですよ。
第一楽章終ったあとすーっと引き上げて来ちゃった。
で、お客さんがね、いわゆる宗教関係のお客さんだったもんだから、ほんとに音楽のわかる人っていうのはあんまりいないわけです。上の偉い人が来いって言えば、わっと来ちゃうような信者さん。
だから一楽章終った後、ばーっと拍手になって引き上げてきちゃった。
あれ、ピアノの具合が悪いのかなって思って。
そしたらトイレに駆け込んでいっちゃった。
もう演奏してるうちにトイレのね、それが汚い話だけど、大きい方がしたくなってね。そんな話だとか。
プロ野球のどこのチームか忘れましたけど、大ファンがいましてね。ピアニストで。
それでちょうどプロ野球の始まるっていうのが6時か7時ころでしょう、ナイターが。
そうすると、ナイターが同じ時期で大変重要な対戦だったらしいんですね。
「山田さん、袖にいなくていいから、あの、楽屋にテレビがあるから、それ見てね、ここのチームのね、今どうなってるかっていうのを教えて」って。
休憩で入ってくるとね「どうなりました」って。
そんなあれじゃいい演奏できないだろうっていうんですけどね。
ははは、まあそういうね、いろいろありました。
佐々木 演奏家の方と、マネージャーとは違った距離で一緒の時間を過ごせるんですね。
山田 そうですね。まあだからマネージャーっていうのはね、終始ね、袖に付いているって人は少ないですね。忙しいですからね。
受付行ったり、舞台行ったり、行ったり来たり。
もう終るころになって袖に来る、そういう人は多いですけど、終始いるってことはあんまりない。
佐々木 山田さんはいらっしゃいますもんね。
山田 だいたいそう。ただ例えば、さっきお話したマネージャーに断って録音室にいるとかね。
そこから見えますからね。
でも実際にはこういうこと(ゲーム?)をやってるんですよ。
録音室にはおもしろいものがあるから。ははははは。
佐々木 本当に演奏と近い存在なんですね。
山田
これもね、我々調律師にもいろいろ個性がありますから。
1回でペケになったこともありましたよ。
合わない、だめだ、調律師と合わないって。
だけどもう30年も40年も愛用してごひいきにして下さる方もいらっしゃいます。
やっぱり相性があります。
、演奏途中d
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