2014年1月5日日曜日

年寄りの冷や雪

お正月早々、朝まだ暗いうちからガラゴロとキャリーバッグを引っ張って静かな町中を歩くのはなかなか気がひける。
長野新幹線に乗るために早起きして出かけた。
同行するのは「雪雀連」のおかもっちゃん。
先発組5人は前日から行っている。彼らはこんな上天気な日には遠出しそうなので、たぶん午後からおかもっちゃんと2人だけで滑ることになりそうだ。
彼女は慎重な性格で、かっ飛びの私とは対照的だから、一緒にいてもらうと私も慎重になるので怪我をしないで済む(と思う)
昼前に定宿の「石ノ湯ホテル」に到着。
廃業のうわさもあったけれど継続するいうので喜んでいたが、出迎えた人が見ず知らずの人だったのに驚いた。
背の高い男性がにこやかに迎えてくれた。
ホテルに入ると全員知らない人ばかり。
少しショックを受けたけれど、見慣れたロビーや食堂、部屋の調度品も殆ど変わらずにそのまま保存されている。
全部引き継いでくれたことがうれしかった。
受付の女性は飾り気の無い感じの良い、笑顔の素敵な人。
今までのまったりとした雰囲気からかなり若返って、若い男性達がてきぱきと仕事をこなしている。
今回も素晴らしい晴天に恵まれて、午後からも熊ノ湯のゲレンデは雪も申し分ない。
こんな良いコンディションの時には、私でさえも上手くなった様な気がする。
はじめは足慣らしのつもりだから、易しいゲレンデをゆったりと数回滑っていたけれど、ふと上を見ると一番上の急斜面から人が降りてくる。
この斜面も何回か滑った経験があったから、あんなにきれいに滑ってこられるなら、きちんと整備されて雪の状態も良いのだろう。
ちょっと行ってみようかな?
魔が差した。
もう日も暮れるから行くなら今だ、よし!
途中駅を通過して一気に頂上までリフトで行ってしまった。
斜面に立ってみると、なんと、ひどい雪の塊がボコボコになっていて、急斜面が目の下に長々と見える。
それでも能天気な私はエイッとばかり下り始めた。
整備されていない雪はスキーにからまり、脚力の無い私の手に(足に)負えないことがすぐにわかった。
しかし、ここまで来たら下りるより仕方が無い。
数回ターンをして転ぶ。もう一度転ぶ。
そして3回目に転んだときに左のスキー板の上に右の板がクロスして載ってしまった。
引くにも出すにもびくともしない。
左足の靴が妙にねじれているから、迂闊に無理して動かすと足首をねんざしそうで怖い。
下にはまだまだ急斜面が続いている。
もう日が翳ってきた。
これを降りなければ、今日の夕飯にありつけないぞ。
その時3人のスキーヤーが上から下りてきた。
かなり上手い人達ではあったけれど、こんな雪の状態だから他人の災難に目を向ける余裕はないらしい。
それでもこのチャンスを逃すと助けてもらえないと思ったから、大声で「助けて下さい」と2,3回呼びかけると一番後ろにいた人が、少し下から板を外して上ってきてくれた。
板を真っ直ぐにしてもらって、やっと立ち上がることが出来た。
そこからは転ばないように慎重にヒタヒタと降りてきて、あと5分の1くらいを残す所まで来たら、その人が「もう大丈夫ですね」と言って降りていった。
私は自分が降りるので夢中だったので気が付かなかったけれど、ずっと側にいてくれたらしい。
迷惑な下手くそを見過すわけには行かなかったらしい。
どこのどなた様か知りませんが、ご迷惑おかけしました。
ホテルに帰ると先発隊と合流、彼らはあまりの上天気に誘われて、熊ノ湯から奥志賀まで遠征して焼額ゲレンデで滑ってきたと意気揚々、ニコニコしている。
わが「雪雀連」の不良シニアたちの元気なことったら、まったくもうあきれたものだわ。
私には年寄りの冷や水ならぬ冷や汗、いや、冷や雪だったけど。

























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