最近ギニアの野生チンパンジーの群れで、母親が死んだ我が子をいつまでも離さないという記事を読んだ。弔いの原点では・・とコメントしたのは、京都大学の松沢教授。そして、カメルーンでも、死んだ雌チンパンジーを弔う仲間の姿が観察されたそうだ。 名前はドロシー。人間に捕まって虐待されていたドロシーは保護センターに保護されたが、虐待で体を壊し、仲間に中々なじめなかった。仲間からもいじめられていたが、2歳のオスの孤児の面倒をみるようになり、やがて仲間にも受け入れられしだいに愛されるようになった。一昨年ドロシーが死ぬと、体をゆすって起こそうとしたり地面に倒れこんで咆哮する仲間たちがいたという。 ドロシーは地元の人々にも愛され、センターは葬式を計画。そこで、思わぬことが起きた。ドロシーを運び出すと、仲間がロープ越しに集まってきた。いつも騒がしい彼らがじっと彼女を見つめ、沈黙をまもり、埋葬がおわるまで一匹も立ち去らなかった。写真にはロープ越しにドロシーをみつめる仲間たちが、整然と並んだ姿が写っている。 今密漁によって、チンパンジーの数は激減しているという。人間の欲望の前に、他の動物の悲劇が繰り返される。快適な生活、美味しい食物、珍しい物への憧れ、多大な欲求を持つことを反省せずにはいられない。チンパンジーは身近ではないが、多くの他の動物の犠牲のうえで生活していることを、忘れてはいけない。涙なくしては読めない記事でした。(東京新聞5月29日号掲載の記事より)
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