2013年4月14日日曜日

歩く楽譜

「先生の家の楽譜は歩くんですね。先週も先々週も楽譜がないって騒いでいましたよね」中学生の男の子に言われたことがある。「そうなのよ。夜になると遊びに出かけちゃうのよね」本当に泣きたいくらい楽譜が見つからない。整理整頓は元々非常に苦手だったから、家中おもちゃ箱をひっくり返したように散らかっている。レッスン室の方は一応不意に来客があっても大慌てしないですむくらいにはなっているけれど、それでも楽譜とステージ衣装と靴があちらこちらに散乱。時々楽譜を整理してヤレヤレと思うと、次に弾きたいときにどこへ入れたか思い出せない。クローゼットの中にはアルファベット順にしまえる楽譜棚が収まっている。そこに置いておける物は普段あまり使わない曲やスコアなど。しょっちゅう必要な曲はピアノの上にどさどさと載せてある。ところが調律するときなどにそれをどけると、もう次の時に必要な楽譜が見つからない。次回に使うクライスラーの小品集、ヘンデルのパッサカリア、ハイドンのトリオなどが行方不明になっていた。山の中からようやく見つけ出して見たものの、前回使った物と出版社が違って、微妙に音や運弓が違うとやはり弾きにくい。捜し物をする時間がもったいないとは思うが、探していないからと言って有意義に過ごしているわけではない。ヴァイオリンのパート譜はピアノ譜と違って薄くて表紙がないものが多い。譜面台に複数の楽譜を乗せておいて閉じるとき、他の楽譜に挟んで閉じてしまうと、後で探すときに中々見つからない。楽譜が見つからない上に一昨日から読書用の眼鏡も見当たらない。楽譜を作っていたときにはかけていたのだから、家にあるのは確実なのに。次々に歩き出す楽譜、眼鏡、携帯、家の鍵、これで楽器も歩くようになったらもうお終い。それよりも自分が徘徊するようになったら・・・おお、こわ。

5 件のコメント:

  1. わかるわかる、気がつくといつも何かを探していて、そのうちに「あれ?何探していたんだっけ」となってしまう。ものが勝手に歩き回っているなんて発想、ユーモアがあっていいですね。

    返信削除
  2. これって老人性惚け症状の始まりだと思うでしょう?
    ところが私は子供の頃からすでにこうでした。
    天然なんですね。

    返信削除
  3. そーらにさえーずるーとーりのこえー
    あら、どうしてこんな曲しってるのかしら。

    返信削除
    返信
    1. みねよりオツルというのが
      子供心に腑に落ちなかった。

      削除