2011年8月5日金曜日
スタジオミュージシャン
CDなどのレコーディング、カラオケ、コマーシャルソング、ドラマのバックミュージック、いわゆる劇伴とよばれる。そんなステージでなくスタジオ内での仕事を主にする人たちがいる。勿論劇場や歌手の伴奏などライブもしないことはない。私たちが全盛期には徹夜で録音して、明け方帰ったりしたものだけど、今は仕事も減って、ずいぶん大変な時期にさしかかっているのだなあと思う。今日は久しぶりにスタジオに入った。久しぶりだからカーナビに案内してもらおうとセットしたが、うちのカーナビはほとんど役立たず。なぜか、反対の方に連れて行こうとする。かつては毎週のように通った麹町付近のスタジオなので、知らず知らずのうちに自分で方向を決めている。それに反してカーナビおねえさんは、右を左、左を右と絶叫する。いったいどうやって連れて行くつもりかと思ってよく見ると、なんと遠くからぐるっと一回りさせるつもりらしい。いつの間にか一方通行になったかと思ったけれど、とにかく自分を信じて走っていくと、なんのことなく到着した。まったくもう、こんなところをカーナビ使おうと思う私がばかだった。まだ売れっ子だったころは、スタジオ仕事が嫌いな私はもったいなくも、どんどんお断りしていた。今より沢山仕事があったから、断っても又すぐに電話が入る。時々気が向いたときだけ行くという、贅沢さだった。ところがいつしかシンセサイザーの登場とともに、アコースティック楽器はどんどん数を減らされ、仕事自体も少なくなって、いまや、一握りのグループがスタジオを独占している。めったにないおこぼれを時々やらせてもらえる。貴重な仕事に行くと、懐かしい顔ぶれでうれしい。なぜスタジオの仕事が好きでないかというと、機械に向かって弾くのと、お客さん(人)に向かって弾くのの違い。人からは何らかの反応があるが、機械は欠点を見つけるだけ。コトリとでも雑音が入れば取り直し。お腹がグウとなったり、咳がコホンとでれば、全員から白い目は間違いない。ほんの少しのズレも情け容赦なく暴露される。機材がよくなって、少しの間違いも許されない厳しさがある。スタジオ内の空気の張り詰めた寒々しさ。どうも苦手だった。でも今日はメンバーが和気藹々だったので、楽しい気分の方が大きかった。めったにないことだけど。
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