2011年8月4日木曜日

強い!

ピアニストたちの弾く会に参加させてもらっているが、そのうちの一人、私といつもコンビを組んでベートーヴェンのソナタを連続して弾いているSさんのご主人が亡くなった。晴天の霹靂とはこのことで、まだまだ働き盛りなのに、言葉をかけるすべもない。ご葬儀から10日ほどたっているが、まだ悲しみも癒えないと思うけれど、今月の例会が迫っている。前からの約束だったので、もし気持ちが向かなければキャンセルしていいよとメールを送ったが、今日予定どおり練習をした。お花とお線香をあげさせていただいた。元気の良い生き生きとした写真がこちらを見ている。彼女のうちに合わせに行くと、音楽好きな彼は時々覗きに来ては、ちょっと一言言ってくれる。それが的を得ていて、なかなか参考になる。あんなに元気そうだったのに、儚いこと。合わせ始めると意外と力強い演奏に少し安心する。終わってからしみじみと思ったのは、彼女にピアノがあって本当に良かったということ。しっかりと彼女を支えてくれるのは音楽以外の何者でもない。家族や友人などもいつかはお別れすることがあっても、音楽はずっとともにいてくれる。私たちはものすごいエゴイストかもしれない。自分の中にしっかりと根付いたものが、外からの介在を許さないものを持っている。身近な人の死はそれ自体大変に悲しいことで、彼女も顔色悪くやつれていたけれど、しっかりと自分の気持ちを保っている。チェリストの友人は、コンサートの朝奥さんを亡くし、でも一切乱れることなく本番をやりとげた。後で聞いて皆びっくりして、彼の胸中をおもいやって泣いた。もう一人の友人も前日お母様を失くし、本番が終わったときに初めて私たちにそのことを言ったので、本当に驚いたことがあった。自分の義務は何事があろうとやりとげる、強い人たちですね。たまさぶろうに死なれたら、私なら一日中泣きっぱなしかもしれない。

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