2011年8月8日月曜日

消えたランチ

美容院で座っている椅子の足元を見たら、よくもこんなに切ったものだと思える位の沢山の髪の毛が落ちていた。つい先日ベリーショートにしたばかりなのに。すっかり涼しくなった髪に満足して、友人との待ち合わせ場所に行った。今日は近くに住むヴァイオリンの仕事仲間と一緒に、ランチをとる予定だった。ところが姿が見当たらず、かわりに携帯に何回もの着信履歴が残っていた。必死で連絡しようとしていたみたい。こちらからかけると、すぐ行くと言って現れたのは真っ赤なボルボ。車でどこかのレストランに行くのかと思ったら、必死の面持ちで「主人が今朝倒れて入院しているの。せっかくのときに悪いけど今日は行かれない。ごめんね」おやおや、それは大変、それならわざわざここまで来てくれなくても、電話だけでよかったのに。律儀に来てくれて、せっかくだからお茶でも飲む?と言うから、いかにも人間関係を大事にする彼女らしいなと思った。初めて会ったときはズケズケとした物言いをする人だなあと、あまり好印象はもたなかったが、付き合って見ると気配りのできる姉御肌の人で、長い間業界のリーダーとして活躍していた。サバサバした性格で、まっすぐに向かい合えばいいから、私のように無作為で生きる人間には、ありがたいお付き合いだった。着ているものも乗っている車も、住んでいるところも高級品。ご主人も某テレビ局の名の知れた方。いつもクリーニングから戻ったばかりのように、アイロンがビシッときいた衣類を身に付け、車はピカピカ。暇だから毎週ゴルフにいってるの、と言って、筋肉質の日に焼けた贅肉のない体つき。セレブは違うなあといつも感心している。すべてがヨレヨレの私は、どうしたらあのようになれるのか想像もつかない。ずいぶんこまめに動かないと、いつもあんなに身奇麗にはしていられないだろう。「せめて顔だけでも見に来たのよ」と言う。はいはい、こんな顔でよかったらどうぞご覧ください。私は美人じゃないけれど面白い顔ではあるから、ご期待に沿えるでしょう。でも、ご主人は結構年上だから、なんだか心配。やはり熱中症かな。お気をつけて、お大事に!

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