2012年1月22日日曜日

ベテラン

仕事場で若い世代の人と並んで弾くことがある。最近はどこへ行っても私より年少、悪くすると私が最年長だったりする。そんな時、一応私は長い年月仕事をしているから、何でもすぐに弾けてなんでも知っていると思われるのが、非常に困る。本当はなーんにも知らないし、少しも上手くはない。ただたくさんの年月に沢山の曲を弾いてきたと言うだけのこと。今の若い人たちのように、沢山の情報がなかったから、勉強もかなり遠回りしていたと思う。技術的にも若い世代は優れている。一緒に並んで弾いていた女性から「お宅では練習なさらないとは思いますが、楽譜をお持ち帰りになりますか?」と訊かれた。とんでもない、必死でさらいます。特に最近目が悪くなってきてからは、どんなに簡単な曲、何回も弾いたことのある曲でも必ず目を通す。かつては集中力があって、難しい曲でも初見でかなり弾けた。それが最近は易しい曲でも間違える。それは集中力の問題というよりは、視力の問題。楽譜の5線が歪んで見える。臨時記号がシャープかフラットかナチュラルかはっきりしない。会場の照明はおしゃれで少し暗いところが多い。そしてオーケストラの楽譜は弦楽器の場合、二人で楽譜を見るから斜めから見ることになる。これが非常に目に悪い。焦点が両目で違ってくるから、楽譜の自分側は良く見えて、反対側はとても見にくい。これは譜めくりなどの関係で仕方がないことなのだが、これも若いころにはなんでもなかった。すべてを年のせいにするわけにいかないから、若い頃よりも楽譜をしっかり見るようになった。その分疲れる。ベテランと言われるようになると、こんなつまらないことが原因で仕事がしんどくなって、みなやめてしまう。この年齢になって初めてわかってくることが多くて、本当はこれからなのにと思うけれど、体の機能が衰えてしまうのだから、悔しいかな、一人減り、二人減り・・・私はいつまで出来るかわからないけれど、もう少し現場にいてもいいかなあ。誰かが決めてくれるとありがたいのだが・・・。

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