2012年5月26日土曜日

東京交響楽団第600回定期演奏会

モーツァルト「ハフナー」 マーラー  「大地の歌」 指揮 ユベール・スダーン   メゾソプラノ  ビルギレット・レンメルト   テノール イシュトヴァーン・コヴァー                                     「ハフナー」はやや鮮明さに欠ける響き。というのは軽さを出そうとしてか妙に音を抜く演奏で、モーツァルトは意外と骨太のしっかりした男性的な音楽であるために、ヒラヒラ演奏しては明快さが出ない。ひじょうに音の分離が悪く、会場の響きに飲み込まれてしまったようであまり面白くはなかった。そして「大地の歌」これは名演。マーラーの音楽はいつも境界線上にいるような不安定さがある。生と死、恍惚と不安、極彩色とモノトーン、理性と狂気、その狭間を行き来しながら織りなす世界だから。底に流れる死の恐怖と絶望的な孤独感。メゾソプラノのレンメルトの豊かな声は、声楽的というより人間の声を楽器と同等に扱っているようなこの曲で、オーケストラと見事に一体となった感がある。交響曲といっても歌曲が連なった「大地の歌」ではあるが、オーケストレーションも多彩で、グロッケンシュピール、チェレスタ、ハープなどのきらめきが素晴らしく魅力的。木管楽器やコンサートマスターそしてチェロのソロも素晴らしかった。指揮者はどうやらオケのメンバーからは好かれていないらしいが、とてもいい指揮者だと思う。今このオーケストラにいられたら、幸せだったかなとも考えた。中学生の頃東響の演奏を聴いて、このオーケストラに入りたいと思った。夢を果たし入団して、その後自由を求めフリーとなってしまった。ずっとオーケストラに居たら、今日の私はいなかったと思うけれど、やはり一番好きなのはオーケストラ。10年ほどだったけれど沢山の演奏のスキルと人脈はこのころに養われたもので、いまでも私の力強い人生の味方となっている。

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