2012年5月15日火曜日

雨の日

穏やかな落ち付いた雨の日。すこし肌寒い。猫たちは床暖房を復活してもらって、ぬくぬくと寝ている。「のんきでいいなあ、君たちは」と言ったら、「いやあ、これでもいろいろ苦労はあって」とは返ってこなかった。働きもせず人をこき使って生きる、世の中にこんな贅沢な生き物はいるだろうか。お金もないのに毛皮着て。あ、それは生まれつきだから仕方がないか。前に就職活動がうまく行かず、悩んで自殺してしまった女性の事を取り上げたことがある。その人が猫のような性格だったなら、まだ生きて楽しく暮らしていたに違いない。自宅は裕福だから、なにも無理に働かなくてもと思うのは、私も猫族だから。それよりも世間に受け入れられていないと言う敗北感、または、拒絶されているという寂寥感などが強いのだろう。とにかく悲しい出来事だった。生き急ぎ過ぎていたのだろうか。私は今仕事も激減しているにも関わらず、一生のうちでこんなに楽しいことはなかったと思える。仕事でヴァイオリンを弾くのも、それはそれで楽しかった。重いバッグを引きずって見知らぬ土地に仕事に行くのは、本当にワクワクすることだった。でも、本当に自分の好きな曲が弾きたくても、忙しく働いていると、おざなりの演奏になってしまう。とことん向かい合うヒマがない。演奏会当日までになんとか弾かなければならないから必死になって譜読みは必ず間に合うけれど、そこの先の色付けが希薄になってしまう。無事に終わってもなんとなく消化不良に陥る。今はそれほど長時間弾くわけではないけれど、じっと考える暇はある。以前のように目についたものをせっせと買うほどの経済力もなくなった。その代り、ゆっくりと人と付き合える。友人たちとの会話も時間に追われていたかつての自分なら、時計を気にしながら半分は上の空だったに違いない。食事もゆっくりできる。もともとせっかちの性格は治らないが、本もじっくり読めるようになった。そう、思い出した。若いころは仕事がひまだと見捨てられたような気がしたっけ。電話が故障しているのでは?前に仕事に行った時にヘマをしてほされているのではないか?と悩んだことを。こんなに余裕をもって対応できなかったなあ。そんな仕事がなかった時、かつてのオーケストラのコンサートマスターである鳩山さんに言われた言葉。「君ねえ、仕事が無い時には勉強するものだよ」 若さは素晴らしいけれど、苦しいことの方が多いかもしれない。雨の日につらつら考えたことなど。

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