2011年4月12日火曜日

しずこころなく

はなのちるらん。
咲き始めたかと思ったらもう桜吹雪。うちの前の桜並木はいつもの年に比べても、それは見事にさいたけれど・・・。なにか今年はメランコリックに感じてしまう。いまだに続く余震で、体が揺れているのか地面が揺れているのか、一番揺れているのは心。人の心もわからないけれど、自分の気持ちはもっとわからない。ゆらゆらとゆれて歳月は過ぎてゆく。
今日は東京音大に入ったばかりのうら若き女性が、母親と一緒にあいさつにみえた。家に初めて来たのは、小学校一年生か二年生だったか。初めから音楽家志望だったので、どうせなら芸大を目指そうと特訓を始めたが、なんともおっとり、のんびりで、にこにこしているばかり。譜読みは早いし真面目ではあるが、自分から音楽を作り上げる意欲に欠けていて、なんとも頼りない。早くから音階や基礎練習をみっちり叩き込みはしたけれど、そんな訳で出来上がりが今いちパッとしない。小学校5年でメンデルスゾーンのコンチェルトやラロのスペイン交響曲などを苦も無く弾いてしまった。だからどうなの?と言わんばかり。いろいろな先生に見てもらっても、一様に自分がどう弾くのかが現せていないという、同じ批評が帰ってくる。これは音楽家として重大な欠陥ではあるまいかと、口を酸っぱくして表現の方法を教えてもピンとこないようだ。なかば諦めていたら、受験の4ヶ月ほど前から急にやる気を見せ始めた。でも、少しお目覚めが遅かった。結局3校受けて芸大はあえなく沈没。すぐに曲が弾けてしまうために、逆に弾き込みがたりていない、弾いて弾いて磨きをかけていく、その過程が充分でないために、上辺だけの出来上がりになってしまう。練習時間もえらく少ない。芸大に落ちたときはかなりショックだったようだけど、もうケロリとして嬉しそうににこにこしている。決して出来ない子ではないのに、その欲の少なさにハラハラしている。思えばこの私・・・いつも先生が泣いていらしたっけ。回りまわって自分の所へ戻ってくるのか。物悲しい春の花散る日。

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