2011年4月27日水曜日

病院でのコンサート

今日演奏する病院は眼下によみうりランドが見える高台にあった。広いロビー、静かでゆったりとした佇まいはすべてに高級感を漂わせ、私ごとき人種は足を踏み入れ難い。表面玄関も外部からはドアが開かない仕組みで、中に入ると趣味の良い絵画がかざられている。どこに病室があるのかしらと思うほど、隔離されている。そこのホールには、アップライトピアノが置いてあって、小さなコンサートが出来るスペースになっている。患者さんは80歳を過ぎた方も多く、看護婦さんに付き添われて車椅子で静かに開始を待っている。大変教養のレベルが高く、音楽にも造詣の深い方達だそうだ。今日は「魔笛」のアリアをヴァイオリンとヴィオラ用に編曲したものを弾くので、あらすじをお話しながら進めてゆくことになった。そのトークを仰せつかって、ヴァイオリンを弾くよりも緊張する。このオペラは話が込み入っているので、ダイジェスト版をいかに簡潔に作るかが大変だった。昨日からその作業のために、ヴァイオリンの練習がおろそかになってしまった。普段はものすごくおしゃべりなのに、いざちゃんとしゃべると中々むずかしい。特に弾きながらというのは、話はどこまでいったかな?次に演奏する曲はどれでしたっけ?どっちつかずになって、集中力が途切れる。それでも時々私がヘマをすると笑い声が起きて、それで少しホッとしたりする。この病院で人生の最後を静かに終えられる方達だそうで、一瞬でも幸せな気分になって下さったかどうか。ご高齢にも拘わらず皆さん姿勢が良いのに感心する。第一線で活躍していた方達が今静かなひとときを過ごしているのだと思うと、尊敬の念が湧く。おろそかな演奏は出来ない。相手が誰であれ私たちは全力をつくすけれど、やはり聴衆のエネルギーをいただけないと演奏に多少の出来不出来がある。今日は静けさのうちに強い力を感じて、内面深く入って行く演奏が出来たと思う。聴いてくださった方たちに感謝です。

2 件のコメント:

  1. 本日は本当にお世話になりありがとうございました!
    皆様真剣に聴いてくださいましたね♪

    モーツアルトはやはり素敵♪
    またどうぞよろしくお願い申し上げます!

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  2. とても良い雰囲気でしたね。
    ありがとうございました。
    お世話になった皆様によろしく
    お伝え下さい。

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