2011年4月21日木曜日

今日も又コンサートへ

友人から誘われて銀座の王子ホールへでかけた。出演者は一人だけわかっている。プログラムはなんにも知らないといった状態で。

人には過去に特別な思い出が一つ二つあるに違いない。私にとって、というよりその時一緒だったメンバーにとって、松本音楽文化センターでの仕事の思い出がそれだったに違いない。
たぶん昭和の60年代、ヴァイオリニストの外山滋氏に率いられた10人ほどのメンバーが松本に集まって、学校関係者のためのコンサートを開いた。それは松本市全体の行事だったため、かなり長い間逗留していた。毎日朝から2ステージだったと思うけれど、その時の顔ぶれが大変気が合って、未だに思い出が心に残っている。皆アンサンブルの達人がそろったので、仕事は非常に楽しく、ステージの上はいきいきとした雰囲気が流れていた。誰一人流れを阻害するものがいない。ソリスト兼指揮の外山氏もメンバーを信用しきっているので、おおかたの部分では好きにさせてくれる。お互いに顔を見合わせ、耳をそばだてて真剣でありながら、素晴らしく楽しいひとときをすごしていた。仕事は3時頃には終わってしまう。仕事に行く時は皆バラバラにでかけ、現地集合となる。それぞれ気のあった人と一緒に車で行ったり、一人で気楽に列車に乗って行く人もいる。その時は車が4台位来ていたと思う。しかもコントラバス奏者は免許取りたて。仕事が終わると皆で上高地や美ヶ原にでかけ、アルプスの絶景を眺めお茶を飲んだ。松本市内に戻ると夜は一緒に食事をして語り合う毎日。まるで学生時代に戻ったような楽しい日々を過ごした。

王子ホールの出演者の一人が、その時のメンバーだった。彼女はヴィオラの名手で、ドイツで長く活躍し、今は芸大で教えている。相変わらず素晴らしい演奏を聞かせてもらった。プログラムはオールモーツアルト、編成はフルート、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、皆さんおそろしく上手い。久々に会える人が居るので、最近はよく演奏会に出かける。今日も銀座の駅で別れを惜しみ、再会を約束してそれぞれの家路についた。音楽はそれぞれの生活を超越して、人を結びつける。素晴らしい思い出を共有したメンバーは今でもこの松本でのコンサートを語り草にしている。
「素晴らしい」がありすぎだとおもわれるでしょう。でも、その時のメンバーは未だに一緒に飲みに行ったりしているのです。そして云うのは「松本はよかったね。」
もう何十年も前のことなのに。

2 件のコメント:

  1. 素晴らしいエピソードですね・・・うらやましい!!!

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  2. こんなに長い間みんなの心に残る仕事が出来て
    本当にしあわせでした。ジーン(音聞こえる?)

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