2012年9月17日月曜日

街の歌

今年3回目のベートーヴェンピアノ三重奏曲「街の歌」代々木上原のムジカーザ、こじんまりとしたホールは小さなコンサートにぴったり。今年は街の歌を3回弾いた。初めは桜の咲く頃、ボランティアでケアハウスのお年寄の前で弾いて、たいそう喜んでいただいた。そして夏に松原湖のコンサートで、ピアニストもチェリストも初顔合わせの違うメンバーでの演奏。相手が若かったのでテンポも速く生きがよかった。そして今日は長年一緒に弾いている同級生のSさんと、チェリストのこれもSさんと。Sさんお二人の顔合わせは初めて。相手が違うとこれほど感じが変わるかと思うくらい、それぞれの演奏家の特徴が浮き彫りにされる。今日はSさんのお弟子さんで音大卒業後プロとして活躍している若きピアニストたちのジョイントコンサートだったから、皆さん大曲を引っ提げての緊張した雰囲気での演奏だった。非常にレベルが高く、会場が響きすぎるのを上手くコントロールして、ステキなコンサートになった。そのトリを務めさせていただいたのだが、やはり何回弾いてもベートーヴェンは緊張する。この曲はベートーヴェンの中でも、明るく愛らしくて私はとても好きな曲なのだが、相変わらずむずかしい。さすがに3回も弾くと馴れそうなものだが、いつ弾いても緊張には変わりない。今日はピアニストもチェリストも私とは長年一緒に演奏している人たちだから、むずかしさに変わりなくても相手への信頼度が違うので、本当に楽しんで弾いた。アンサンブルは長年一緒に続けて行くことが肝心だと思う。いくら名手がそろっても、練習が足りていないとすぐばれる。以前テレビでメンデルスゾーンの8重奏曲を見ていた。その頃の一番旬の人たちだったにも拘わらず、あきらかにやっつけ仕事。いかにも上手そうに弾いてはいるのだが、ちっとも感動しなかったのを鮮明に覚えている。名人級が揃っていても人の耳はごまかされない。愚直に不器用に続けて行くことが一番肝心なことではないか。

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