2012年9月16日日曜日

旧友からの電話

今朝かかってきた電話はもう20年以上会っていなかった人から。優秀なピアニストで音大の先生を長く勤めていたけれど、最近はやっと少し自分の時間が持てるようになったので、又ご一緒にどうですかとのお誘い。皆働き盛りの時には子育てや親の介護が重なって、特に女性は中々演奏までは手が回らない。それでもじっと我慢をしながら勉強を絶やさなかった人たちは、今ここで花が開く。その間子育てや親の介護と言う隠れ蓑に甘んじて怠けていた人は、もう再起は不能となる。そういう忍耐派の中の一人である彼女とは、ずいぶん色々な曲を共演した。ローラ・ボべスコの前でブラームスのソナタを演奏したのが最後だったかしら。彼女は離婚して女の子を一人で育てていたけれど、縁があって再婚して幸せな家庭を築いている。その前夫との離婚の原因がおかしい。最初のご主人は某有名国立大学出身。それだけが取り柄のつまらない男だったそうで、その上に鬼姑がいて彼女をいびったそうだ。子供が出来た時に、彼の出身校以外の血が流れる子供は嫌だと言ったそうだ。彼女もそのお父様も一流国立大学出身なのに。その言葉で絶望した彼女は、子供が生まれるとすぐに家を出て実家に戻り、子育てしながら大学で教え演奏もするという大変な毎日。その頃によく一緒に演奏をした。なぜかコンサートの前日に子供が熱をだすのよと、よく言っていた。彼女の緊張が子供にも伝わってしまうのだろう。しばらくして再婚した後は、年賀状のやり取りだけとなった。再婚相手にも子供がいて、子育てが大変だったと思う。そして今朝、弾んだ声で、小さなコンサートですが又一緒にできないかしらと言ってきた。いつまでも覚えてくださってありがとう。私は心からお礼を言った。ピアニストの友人がたくさんいて、様々な曲が弾けるのは本当に楽しい。そのかわり、次々と追いまくられて忙しくなるのは仕方のないことで、これは嬉しい悲鳴。怠け者の私に神様がくださった試練と考えて、老骨に鞭打っていかねば。ヒーヒー!

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