2012年9月8日土曜日

すばらしいアニメーション

岡本忠成さんは20年前に亡くなったアニメーションの監督。わが「雪雀連」のメンバーでもあった。その作品はいまだに大勢の人を魅了してやまない。今日は大手町の日経ホールでの遺作映写会があったので出かけた。初めの作品は「あれはだれ?」毛糸の線だけを使って動物を表現。気の遠くなるような作業を重ねたに違いないこの作品は芸術祭優秀賞ほか複数の賞を受賞している。子供も大人も楽しめるのに、大人にしか本当に理解できないと言ったのは評論家のおかだえみこさん。途中登場してのおはなし。次は「おこんじょうるり」キツネのおこんが、いたこのおばあさんに受けた恩を、病気を治す不思議な力を持った浄瑠璃を語って恩返しする。しかし、結末は号泣するくらい可哀想。何回見ても哀れで哀れで泣いてしまう。今日も又泣いた。圧巻は宮澤賢治の作品をもとにした「注文の多い料理店」制作途中で岡本さんが亡くなったために、川本喜八郎がスタッフに加わり、5年の歳月をかけて制作されたという。冒頭の部分からすぐに意識の深層に入って行くような深みを感じる。色も人物も動物もすべてがまるで実際に存在するような、アニメの枠を超えた表現が素晴らしい。それは製作者の集中力がそのまま感じられる作品であるから。最後に「虹に向かって」深い谷川に隔てられた恋人同士が、橋を架けるために必死で働く姿を描いている。これらの作品のすべてが大変名誉ある賞をそれぞれ複数受けているのもうなずける。こんなに素晴らしいアニメがいまから20年以上前に完成されていたとは。会場には岡本さんの奥様さと子夫人。作品に登場する人形を作ったのんちゃんなど「雪雀会」でいつもお馴染みの方たちが顔をそろえていた。見終わってこれほど感銘を受けるアニメーションはほかにしらない。それは作る方も見る方にも、アニメは子供やオタクの物だと言う考えが根強いからではないか。本当に鑑賞に耐える大人のアニメがこれからも出てくることを願っている。これらの作品はDVDがあるけれど、やはり劇場で見るのが一番。次回もお知らせしますので、是非会場に足をお運びください。

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