2011年6月21日火曜日

気が付けば

昨日はせっかく箱根まで行ってあじさいにありつけなかったので、今朝散歩道でやたらとあじさいに気が付く。なんだこんなにきれいに咲いていたのか。灯台下暗しとはよく言ったものだわ。でもあじさい電車の両側はそれはそれは見事に群生している。標高によって咲く時期が異なるので、全部が同時に満開とはいかないけれど、それぞれ趣があってよろしい。花を目的に行くとときどき肩すかしされることがある。もう、ずーっと前のことだけど、札幌で友人のコンサートに賛助出演したあと、10日間フリーにしてレンタカーで北海道を回るという計画をたてたことがある。もちろん一人で。友人のお勧めの道南から始まる予定だった。ところが、そのコンサートに来ていたヤマハ楽器の人が「今なら富良野のラベンダーが咲いていますよ。道の両側にラベンダー畑が広がって、それは見事です。ぜひ行ってごらんなさい」と熱く薦めるから急きょホテルをキャンセルして、富良野のプリンスホテルを予約した。その時期6月の半ば。富良野が近ずいても道の両側にはまだそれらしき風景は現れない。場所が違うのかと思ってとりあえずホテルにチェックイン。荷物を運んでくれたポーターにさてラベンダーは?と尋ねると、困惑した表情で「ラベンダーの季節は7月です。今頃芽が出たころでしょうか」気の毒そうに答える。なにっ、わざわざ進路変更してきたのに、ヤマハマンのうそつきー」それではなにか見どころは?と聞くと「この辺はなにもありません。テレビロケでつかった丸木小屋があるくらいです」その当時「北の国から」という評判の良いテレビドラマがあったけれど、私は見ていないので何の感慨もわかない。でも、散歩がてら行ってみるか。思ったより小さな丸木小屋で「うーん、これが」そのていどの感想。富良野はやはり雪の頃来るべきだった。その時借りた車は当時発売されたばかりのアスカ。たいそう評判が良くてレンタカーの店員が胸をはって「アスカですよ。」と何度も念を押すように言う。でも、走り始めるとレンタカーで乱暴に乗られていたせいか、乗り心地も信頼性もいまいち。その車で十勝岳に登り、車を止めて窓を開けると、聞こえるのは風の音と鳥の声ばかり。なあんて素敵なの!シートをたおしてその声を聴いていると、突然道路パトロールの黄色い車が現れ、じろじろこちらをうかがっている様子。女ひとりこんな山の中で自殺でも・・・なんて考えたのかもしれない。まったく、こんな山の中まで人目を気にしなくてはならないなんて。日本は狭い。そのあと下ってゆくと突然キタキツネがあらわれた。人馴れしていて車をおりて近付いても逃げようともしない。いけないこととは知っていたが、つい、手持ちの食料をおすそ分けする。犬と同じね。犬は可愛がられるのに狐はいつも悪者扱い。どこで線引きされてしまうのだろう。あてもなくそこいら辺を旅して歩いたけれど、ついに4日目に退屈して帰路についてしまった。なぜなら、どんなにきれいな景色を見ても感動を分かち合う人がだれもいない。一人でつぶやく。「なんてきれいなんでしょう」でも、反応はない。仕事の旅は一人に限る。いつも一人で目的地に行くけれど、観光はお話する人がいないとつまらない。

0 件のコメント:

コメントを投稿