2011年6月25日土曜日

ゴンべさん

巨大猫だったゴンべは唯一さん付けで呼ばれていた。あまりにも大きいので、はじめてみた人はぎょっとするらしい。遊びに来たギター弾きが「うわー、でかい!バス三味線ができるなあ」と叫んだほど。自分も猫好きなのにひどいことを言うものだ。ゴンべがうちに入ってきたころ、先住民はニブ、トッポ、ナオコ、そのナオコが脳腫瘍で死んで空きができたので、入ってきた。初めはおとなしくしていたのに、しばらくするとトッポをいじめるようになり、トッポはおびえて家に入れなくなってしまった。見かねてゴンべを叱りつけ、優先順位をわからせようと努力した結果、いじめてはいけないということは理解したらしい。でも、本能が表に現れジーッと睨んでしまう。その視線に気が付くと新聞紙を丸めて、バシッと近くの床を叩いてわからせる。もう忙しいのなんのって。ねこにしてみれば猫社会の掟があって当然のことをしているに過ぎない。ゴンべはあきらかに体力があって、優位に立てるはずなのに、私のおせっかいで第三猫に成り下がっている。悔しかったにちがいない。その体の大きさからも体力からもずば抜けていたゴンべが唯一尊敬していたのが、ニブ。ニブは体が小さくて病気の猫だった。でも、眼光は炯々としていて、落ち着きはらい、すべての猫を受け入れ、新人いじめを全くしない。それでいて、うちの猫たちを外敵から身を挺して守る。まさに男の中の男。ニブが食事をしている間ゴンべは決して口をつけない。ちゃんとしっぽを体に巻きつけて、じっと見守っている。ニブが終わるとやっと自分が食べる。それは驚嘆に値する光景だった。それに引き替えトッポはお構いなしに食べる。ゴンべにしてみれば、本当に苦々しくてトッポを益々いじめたくなっただろう。ちなみにトッポと私は体型も性格もそっくり。私を見るとイライラするひとの気持がよくわかるから、こちらは気にしないことにしている。それが益々イライラのもとかにゃ?

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