2014年6月3日火曜日

短気は恥かき

短気は損気とは私のためにある言葉。
銀行の口座にいくら残っているかは、見てもしょうがないから、チェックなどはまともにしたことがなかった。
チェックしたところで残高が増えるわけじゃなし。
時々急に大きな買い物がしたくなって、そういう時にはお金が惜しいと思わないくちだがら、ワラワラとかき集めて支払いをする。
するとたいていは不可能と思われたことが、可能になるという幸運の星の下に生まれてきたらしく、ギリギリセーフ。
楽器を買った時もそうだった。
今の楽器に出会う前に使っていたのは、ガブリエリ。
イ・ムジチのメンバーが日本に持ってきたのを、彼がイタリアに帰る前日に弾かせてもらい、次の日成田空港に送って行く車中で譲ってもらう相談がまとまった。
しかも色々あって、言い値の半額で。
めったにないチャンス!
しかし、お金のアテはない。
預金通帳を全部ひっくり返してもないものはない。
親に借りようかしら。
しかし、天が私に味方をした。
掛け続けていて、すっかり忘れていた保険が満期になった。
その金額が楽器の代金と同じ。
私は楽器をゲットして、スッカラカン。
次の楽器を買うときも、これまた全財産はたいて、一文無しになった。
老後の蓄えを放出するのは躊躇したものの、滅多にないほど保存状態が良いオールドヴァイオリン、出会ったとたんにヴァイオリンが私にニッコリ微笑んだので決まった。
それから10年、今は自分の好きな音に会えて、思い切って買って本当に良かったと思えるのが幸せ。
ピアニストの友人が、自宅を改装して広々としたレッスン室にしたのが羨ましくて、空きのある駐車場をサロンコンサートが出来るような部屋にしたいと考え始めた。
先立つものはお金。
普通預金は雀の涙。
しかし、積み立て定期預金があったはず。
一体いくらくらい貯まっているのかと通帳を見たら、ずっと記帳していなくて残高がわからない。
久々に銀行に行ってみた。
記帳するだけだから、ものの数分で終ると考えて居たが、20分以上過ぎても名前が呼ばれない。
客は少なく、私より後の記帳希望者もさっさと帰っていく。
そのうち腹が立ってきた。
これはきっと私の分だけ忘れているに違いない。
係を呼んで「遅いけど、どうしたの」と詰問する。
慌てた係員は裏に飛んでいって、しばらくして戻ってきた。
「お待たせして申し訳ありませんが、大分長い間記帳していなかったものですから、通帳が複数になりますので、しばらくお待ち下さい」と言う。
「ふん!たかが二冊くらいにこんな時間がかかるわけがない。きっと忘れていたのだ」と思って更に機嫌が悪くなる。
それから10分ほどして、大慌ての係員の手には5冊ほどの通帳があった。
ひえっ!なんだこれは。
話を聞くと、あまりにも放っておいたので、長い年月にはすでに満期になった物があって、その時の金利で良い方に継続するので、入れる先の口座を選んだり色々あって、複雑怪奇、私の理解を超える大変さがあったらしい。
やっと自分の方が理不尽だったことに気が付いたけれど、振り上げた拳の下ろしようもなく、怒ったまま帰って来た。
それなら最初から、時間がかかると言えば!くらいな我儘さで。
そして、ずいぶん長きに渡って積み立てたのに、予想を下回った金額も腹立たしい。
しかも私の夢を話した人から「広さが倍になると物も倍になります。今だって一日中捜し物をしているのに、それが4倍になるんですよ」と言われてしまってギャフン。
1日中捜し物をする自分を想像したら、萎えてしまった。

私はあるときから銀行に不信感があって、過去のことを根に持っていたから、ずいぶん横柄に対応してしまったが、こんな我儘な客を相手に銀行員もたいへんだわと、ガラにもなく同情してしまった。
あとで盛大に塩まかれた違いない。
今日はやな客がきたのよ、なんて言われて。
でもね、コンピュータに記憶されているのを印字するだけのはずが、そんなに時間かかる?



















4 件のコメント:

  1. 面白い! 貯金は会社で給料天引きで、他にお金貯めようなんて思ってなくて定年後がちょっと不安。まっ、nekotama様と同じで「ケ・セラ・セラ」ですわ。

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  2. nyarcil様のように安定した生活と違って私たちはその日暮らし。
    若い頃は不安でしたが、もう尻尾が7本くらいになると
    矢でも鉄砲でも持ってこーい!ですわ。

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  3. あのー、最近になってやっと安定したものです。ちょっと前までは、外資系17年でしたよ
    意地悪なフランス人がボスで。尻尾が7本って、きつねさんですか。 もっと化けてくださいな。

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  4. そうですか。それで語学が達者なんですね。
    汝の敵を愛せという言葉はフランス人に向けてだ、という説を唱えた友人がいます。
    彼女はフランスに留学していました。

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