ドゴール空港近くのホテルは、さすがフランス。朝食の多彩で美しいこと。バスの中で会計明細を見ると、前夜部屋で飲んだビール代金が入っていない。どうやら、自己申告制だったらしい。でも、もう空港に着いてしまったし、踏み倒して逃げることに。一路ローマへ。 ローマに入ってからも数々の珍事があったけれど、一大事はバチカンで起こった。天井にまで華麗に描かれている絵の数々に上ばかり見とれて、さあ、次に行きましょうか、というときに一人足りない。でも、コースは決まっているから出口で待てば合流できる、と簡単に考えて待つことしばし。しかし、出てこない。1時間待っても出てこない。これは、なにか異変が。公衆電話をさがしても、すべて故障中。今みたいに携帯など無い時代。連絡の取りようもない。じゅんこさんは「きっと人攫いにあったのよ」と泣き出す。まさかと思っても、こんな大きな宮殿には抜け穴や隠し部屋があるにちがいない。もしや、どこかで助けを求めているのでは、と、心配は頂点に。でも、こうしていてもしょうがないので、いったんホテルに戻りましょう。・・・ホテルに着くと居たっ。穏やかな顔をして、実はアメリカ人観光客について行ったら、向こうは団体だから別のコースで別の出口から出て、塔に登ってバチカンの景観を見てきたの。もう、20年も前の話なのに、いまだに集まるとバチカン、ローマと言っては彼女をいじめる。
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